ふぉれと言う男──ぺこぱ松陰寺太勇の“ナルシズム芸”が愛される理由

エンタメ
この記事は約4分で読めます。
ブクブー
ブクブー

「ふぉれってなんだブー(笑)」「あの口笛いるブー?(笑)」

ぺこぱ・松陰寺太勇が放つ独特な口調と動きに、誰もが一度はツッコミたくなったことがあるはずだ。

キザな口調、クラシカルな決めゼリフ「時を戻そう」、ロンリネス、口笛、そして不自然なほど芝居がかったポーズ。

だが不思議なのは、それが滑稽さよりも“クセになる魅力”を帯びていることである。

今回はNEWS OFF流に、松陰寺太勇の“カッコつけ芸”をただのギャグとして片付けず、

なぜそれが成立しているのか?

なぜ本人は「カッコいい」と思って演じているのか?

モチーフはどこにあるのか?

という視点から、マスコットのブクブーとともに考察していこう。


スポンサーリンク

【1】「キザ」は“笑いの不安定さ”を武器にできる

まず前提として、キザな振る舞いというのは、

成功すれば「かっこいい」、失敗すれば「痛い」と思われる 極端な振れ幅を持っている。

松陰寺はこの“危うさ”をあえて全開にしている。 つまり、

「やりきったらギャグになる」 という構造を理解し、あえてギリギリのキザを演じているのだ。
ブクブー
ブクブー

「たしかに…ちょっとでも照れたら“イタい”けど、全力だと逆に笑えるブー!」

その真顔とガチポーズ、どこかロマンチックな言葉選び。 滑稽さと真剣味がせめぎ合うこの空間に、観客は“笑いのゆらぎ”を感じてしまう。


【2】口調の変化=“キャラと現実”の往復装置

松陰寺の特徴のひとつに、“台詞に入ると急に口調が変わる”という現象がある。

普段は普通の語り口だが、漫才に入ると、

「ふぉれは…」「心にロンリネスを…」 と急に耽美主義に変化。

この“スイッチ感”こそが、

「キャラが降臨した瞬間」を見せている。

つまり、観客は、

“役を演じてる松陰寺”と“素の松陰寺”の行き来 を見せられることで、笑いと虚構の境界線に入り込む。
ブクブー
ブクブー

「なんか、舞台役者とコントの中間みたいブー…」

この演出感があるからこそ、あのキザは“笑っていいんだ”と受け止められる。


【3】「時を戻そう」は“現代版・浪漫主義”である

2019年のM-1以降、世に浸透した名台詞「時を戻そう」

これは単なる“逆ギレ芸”や“台詞ギャグ”ではなく、

現実をやり直すことへの“妄想的願望” を、極端な様式美で表現している。

ここには、文学でいう“ロマン主義”のエッセンスがある。

非現実なまでに美しい言葉で、現実の辛さを包む

それが「時を戻そう」なのである。

ブクブー
ブクブー

「やってることはギャグだけど、言ってることはちょっと切ないブー…」


【4】モチーフは“ホスト文化×ビジュアル系×昭和テレビ”!?

では、あの見た目・振る舞い・語彙のモチーフはどこにあるのか?

NEWS OFF的に分析すると、主に3つの文化圏がベースとなっている。

1. ビジュアル系ロック(派手な見た目・耽美的ワード)
2. 昭和・平成初期のテレビヒーロー(口調・ポージング)
3. ホスト系の語り口と“キャラを貫く”精神

松陰寺はこれらを絶妙に混ぜ合わせ、“パロディの塊”として成立させている

つまり、オリジナリティとは逆に、

「既存の文化をひとりで再演する芸」 なのだ。

【5】“笑われること”にすら美学がある

お笑い芸人として、“笑わせる”のではなく“笑われる”立ち位置。

そこにコンプレックスやナルシシズムをあえて持ち込むことで、 松陰寺は「カッコつけて滑ってる人」ではなく、

「カッコつけること自体が芸術になっている人」 という枠に昇華した。
ブクブー
ブクブー

「ナルシストなのに、好かれてるって珍しいブー…」

これは、“本気でやってるフリ”をする技術の高さがなせる技だ。


【まとめ】

ぺこぱ・松陰寺太勇のキャラクターは、

  • キザの過剰演出
  • 独自の言語美学
  • 昭和〜ビジュアル系〜ホスト文化の混合

という、極めて複雑なレイヤー構造の上に成り立っている。

それは、笑われながらも真剣。嘘っぽいけど、なぜか惹かれる。

NEWS OFF的に言えば、

「カッコつけの中に宿る、笑いと哀愁のダブルイメージ」

松陰寺は、実際には“時を戻す”ことはできない。でも、“時を笑って振り返るためのキャラ”を持っている。

それこそが、現代社会における“ロマン”なのかもしれない。

エンタメ
スポンサーリンク
NEWS OFFをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました