電車の中で突然、バッテリーが発火したら──。
2025年7月、JR山手線の車内で実際に起きたモバイルバッテリーの発火事故は、多くの人々に衝撃と恐怖をもたらしました。身近な存在となったスマホ充電用のモバイルバッテリーですが、実は一歩間違えば“持ち歩く危険物”になりかねません。
なぜバッテリーは発火するのか? どんなリスクが潜んでいるのか? そして私たちはどうすれば安全に使えるのか?
モバイルバッテリーの知られざる“危険な素顔”と、その対策を掘り下げます。
■ 山手線車内でまさかの発火騒動
2025年7月20日、東京・JR山手線の車内で突如発生したモバイルバッテリーの発火事故は、多くの人々に衝撃を与えました。午後4時過ぎ、新大久保駅から新宿駅に向かう車両内で30代女性がスマートフォンを充電中、モバイルバッテリーが発熱し始め、煙が出たため慌ててコードを抜いたものの、バッテリーが床に落ちた直後に発火したのです。
火は他の乗客による消火器の使用で消し止められたものの、女性本人が火傷を負い、避難の際に20~50代の男女4名が転倒などで軽傷。総勢5名のけが人が出たほか、非常用ドアコックが操作されたことで山手線内外回りや他線の運行がストップ。約9万8千人に影響する一大事となりました。
■ なぜ発火するのか?モバイルバッテリーの“弱点”
発火した原因は、モバイルバッテリーに内蔵された「リチウムイオン電池」の特性にあります。
リチウムイオン電池は高いエネルギー密度を持ち、スマホやバッテリーに不可欠な存在ですが、以下のような条件下で発火や発煙のリスクが高まります。
- 劣化や老朽化:長年の使用によりバッテリー内部の劣化が進行。
- 過充電・過放電:充電しすぎや過度な電力消費による電池の負担。
- 衝撃・圧力:落下やカバン内での圧迫。
- 高温環境:気温の高い夏場や車内など、内部温度の異常上昇。
- 粗悪品や模造品の使用:安全基準を満たしていないバッテリーは特に危険。
製品評価技術基盤機構(NITE)によれば、6月〜8月の夏場に発火事故が多発する傾向があるとのことで、まさに今回のケースもその典型例と言えます。
■ 国も警鐘、航空機内は厳しい規制
国土交通省では、旅客機におけるリチウムイオン電池の扱いについて厳格なルールを設けています。預け入れ荷物にバッテリーを入れることは禁止されており、機内持ち込みでも座席の上の荷物棚には入れず、必ず手元に置くよう要請。また、充電中は常に目を離さないことが義務付けられています。
この背景には、万が一の発火時に早期発見・初期消火できる体制が求められているからです。
■ 私たちにできる予防策
事故を未然に防ぐために、私たちができる対策は以下の通りです。
- 信頼できるメーカーの製品を選ぶ
- 使用期限を意識し、古くなったバッテリーは交換する
- 高温多湿を避ける
- 充電中は目を離さない
- カバンの底などで圧迫しないように収納する
- 外傷や変形が見られたらすぐに使用を中止する

「安さに釣られて怪しいバッテリーを買うと、結局高くつくブー!」
■ あなたのスマホライフを守るために
スマホやタブレットが欠かせない現代。モバイルバッテリーは頼もしい味方ですが、一歩間違えれば命に関わる危険物にもなりかねません。日々のちょっとした注意で、安心・安全なスマホライフを送りたいものです。
あなたのカバンの中のバッテリー、大丈夫ですか?
コメント