かつて“最強のアクションヒーロー”として世界を駆け抜けた男──ブルース・ウィリス。
その彼が今、言葉を発することも、歩くことさえも困難な状態にあると報じられている。
診断された病名は、前頭側頭型認知症(FTD)。
記憶よりも先に“言葉”や“行動”が奪われるこの病は、アルツハイマー病とは異なる厳しさを持つ。
なぜブルースはこの病に襲われたのか?
そして、前頭側頭型認知症とは何なのか?
全盛期を知る世代にとって衝撃的なこのニュースを、医学と記憶の両面から掘り下げる──。

「ダイ・ハードのあの姿から、ここまで悪化してるなんて…信じがたいブー」
第1章:かつての“永遠の男”──ブルース・ウィリスという存在
ブルース・ウィリス。
その名前は80〜90年代の映画ファンにとって、一種の代名詞だった。
- 『ダイ・ハード』シリーズのジョン・マクレーン
- 『アルマゲドン』で娘を守るため宇宙に散った男
- 『シックス・センス』で静かに真実を見つめた精神科医
彼の魅力は、“無敵ではない人間らしさ”にあった。
笑い、怒り、迷い、傷つきながら、それでも前へ進もうとする姿。
だからこそ今、言葉を失い、歩くことさえ難しいという報道に多くのファンが動揺したのだ。
第2章:前頭側頭型認知症(FTD)とは何か?
「認知症」と聞いてまず思い浮かべるのはアルツハイマー型だろう。
しかし、ブルース・ウィリスを襲ったのは“前頭側頭型認知症”──別の病である。
- 言葉の理解・発語の障害(失語)
- 衝動的・反社会的な行動
- 判断力や共感力の低下
- 身体機能(歩行など)の障害
■ アルツハイマー型との違い
項目 | 前頭側頭型認知症 | アルツハイマー型 |
初期症状 | 言語・行動障害が先行 | 記憶障害が先行 |
発症年齢 | 45〜64歳の若年期多め | 高齢期(65歳以降)が多い |
誤診されやすさ | 高い(精神疾患と混同) | 比較的診断が確立している |
FTDは“感情・衝動・言語”といった人格の中核部分に影響を与える。
第3章:失語症からFTDへ──ウィリスが闘った数年
ウィリスの異変は、失語症の公表(2022年3月)に始まった。
「台詞が覚えられない」「撮影現場でセリフを飛ばす」などの報道が相次ぎ、彼は俳優業の引退を表明。
その約1年後の2023年2月、前頭側頭型認知症の診断が確定。
妻エマ・ヘミング氏は「ようやく明確な診断がついて、ほっとした」と語った。
彼女によれば、ブルースは子供の頃から吃音があり、演技で言葉を“覚える”ことで克服してきた。
そのため、発話の乱れが病気のサインだとは思いもしなかったという。

「“暗記すれば吃音が出ない”って、演技が治療だったんだブー…」
第4章:家族が支える“混合家族”の絆
ブルース・ウィリスの今を支えるのは、妻エマ、2人の娘メイベルとエヴリン、
そして前妻デミ・ムーアと、3人の娘たち──計5人の娘と2人の妻の“家族”だ。
デミ・ムーアは「私たちはこれからも家族。形が変わっただけ」と語り、毎週彼を訪れている。
また、娘たちもエマに寄り添い、「混合家族であることに感謝している」との言葉を残している。
家族の在り方は、ただの映画スターではない“人間ブルース”を浮き彫りにする。
第5章:認知症と闘うということ──“見えない闘病”のリアル
前頭側頭型認知症のやっかいさは、“見えない”ことにある。
本人に病識がなく、行動や言動が異常に見えても、それが病気であることに周囲が気づきにくい。
- 失言や暴言
- 突然の怒り
- 感情のフラット化
こうした症状は、“老化”や“性格の変化”と誤解されやすい。
診断が確定するまで数年を要することも珍しくなく、
エマも「もっと早く気づいていれば」と語っている。

「“変わったね”って思っても、それが病気のサインかも知れないブー…」
終章:ブルース・ウィリスは“いま”も家族の中心にいる
言葉を失い、歩くことも困難になった。
けれど、ブルース・ウィリスの人生が終わったわけではない。
家族がそばにいる。
映画が、記憶が、世界中のファンが、彼を忘れていない。
今の彼を知ることで、“認知症”という病への偏見や無関心も変わるかもしれない。

「“家族の形が変わっただけ”──この言葉に、全部が詰まってるブー」
まとめ
- ブルース・ウィリスが診断された前頭側頭型認知症(FTD)は、言語・行動障害を主とする若年発症型認知症
- 2022年に失語症を公表し、俳優業引退。2023年にFTDと診断
- “混合家族”が一丸となって支える現在
- この病気の理解と認知を広めるため、家族は積極的に発信中
最強の男だったブルース・ウィリスが、
今は“何も言わず、何もできない”と報じられている──
でも、それでも彼は、愛の中心にいる。
この現実を、ただ悲しむだけでなく、向き合い、知ることこそが“本当のエール”になるのではないか。
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