「辞職する」と言ったはずの市長が、「やっぱり辞めない」と言い出した──。
しかもその理由は「市民の声に励まされたから」だという。
学歴詐称問題で辞意を表明していた静岡県伊東市の田久保眞紀市長が、突如として辞職を撤回し続投を宣言。
百条委員会による調査が進行中で、刑事告発も複数進行している渦中での“ちゃぶ台返し”に、市政は大混乱に陥っている。
疑惑の説明責任を果たさぬまま、「茨の道」を進むと決めたトップに、市民は何を思うのか──。


◆ 「辞職します」と言ったはずが…まさかの“ちゃぶ台返し”
「東洋大学法学部卒業」として市政広報誌や選挙資料に記載していたものの、実際には除籍だったことが発覚した田久保眞紀・伊東市長(静岡県)。
7月7日には「辞職の意向」を表明していたはずの市長が、まさかの辞意撤回を宣言した。
31日午後8時から開かれた会見で、田久保市長はこう語った。
「激励も失望も誹謗中傷もあった。だが、市民の声で使命を思い出した。やり遂げたい」
「新図書館建設の中止、伊豆高原メガソーラー計画の白紙撤回──これだけは結果でお返ししたい」
あらためて辞職はしないと明言し、市長職を続ける意向を固めた。
◆ 28日会見の“あの違和感”が現実に
今回の辞意撤回は、すでに兆候があった。
7月28日の定例記者会見では、報道陣から「辞職時期」について問われるも、田久保市長は「辞職」という言葉を一切口にせず回避。
この日以降、「あれ?本当に辞める気あるのか?」という空気が強まり、市民の不信感はさらに増していた。
そして31日、「やっぱり辞めません」という公式アナウンスが出された形だ。
◆ “卒業証書”の提出拒否、「百条委」も設置へ
学歴詐称に端を発したこの問題は、現在市議会が設置した百条委員会により調査が進行中。
証人として出席した元市民運動仲間の証言によれば、田久保市長はかつてこう語っていたという。
「アルバイトに夢中になって大学に行かなくなった」
「卒業してないけど、(仲が良かったので)終わってからの飲み会には朝まで参加していた」
──卒業はしていない、が“終わってからの飲み会には出た”という、ある意味で“卒業気取りな行動”に議場もざわついた。
さらに問題なのは、市議会に対して見せた“卒業証書とされる資料”の提出を、自己負罪拒否権(憲法38条)を盾に拒否している点。
出頭・証言についても「不適切な請求」として拒否の姿勢を崩していない。
◆ 刑事告発も進行中、混乱は拡大の一途
混乱は司法の場にも波及している。
- 市内の建設会社社長が、公職選挙法違反の疑いで告発(→警察が受理)
- 千葉県在住の公務員男性が、有印私文書偽造などで刑事告発
つまり今後、市長の在職中に刑事捜査・訴追が進む可能性もあるということだ。
◆ 「辞めません」よりも「説明します」が先では?
市長が辞意を翻したことで、ネットや地元住民の間では厳しい声が相次いでいる。
「結局、自分に都合のいい言葉しか拾わないじゃないか」
「辞職を前提に選んだ後任がいない市役所の人事どうすんの?」
「辞めないならせめて、証書を出してはどうですか?」
市長としての“やりたいこと”を語る前に、「疑惑への説明責任」が果たされていないという指摘が多い。

「市政は信頼が命だブー…。
証拠も出さずに「本当だブー!」って…宿題してないのに「家に忘れた」って言う小学生と変わらないブー。」
◆ 茨の道を選んだ代償──市民が望んでいるのは何か
田久保市長が掲げる“改革”の旗は、間違いなく多くの市民の支持を得て当選につながった。
だが今、市民が求めているのは改革よりも「説明」「誠実さ」「清廉性」だろう。
改革の中身以前に、その改革を託せる人間かどうか──
辞職撤回という選択は、今後の政治的信頼にどんな影響を与えるのか。
伊東市政は、かつてない混迷の渦中にいる。
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