なぜ“一般人が買えない会社”がCMを打つのか?──素材メーカーの“謎CM”が急増する理由

テレビ
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夕方のニュース番組やスポーツ中継の合間に流れる、
人気タレントが出ていて、企業の名前だけが印象に残るCM。

「○○特殊鋼」
「△△金属」
「AGC」

でも――
「何の会社?」「何を売ってるの?」
と疑問に思った人も多いのでは?

なぜ一般消費者が商品を買えないようなBtoB企業が、
わざわざ高額なテレビCM枠に“企業名だけ”を流しているのか?

そこには、“売るためではない”CMの、別の戦略的意味が隠されている。


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第1章:そもそも「企業CM」とは何か?

まず知っておきたいのが、
これらのCMは製品の販売促進を目的とした「商品広告」ではなく、
企業の知名度やブランド価値を上げるための「企業CM」であるという点。

POINT
  • 商品やサービスの具体的紹介はあえて省略
  • 社名・ロゴ・企業理念などを情緒的に伝える
  • 一般層というより、“社会全体”へのメッセージ発信
ブクブー
ブクブー

「売らない広告なんて、意味あるのかブー…?と思ったら…めっちゃ意味あったブー!」


第2章:「買えないのに宣伝する理由」──CMの“隠れた効果”とは?

素材メーカーがCMで得ているのは、「消費者からの売上」ではなく、以下のような“間接的な利益”だ。


■ 1. 投資家へのアピール(IR効果)

  • テレビCMは企業の安定性や将来性をアピールできる手段。
  • 社名の認知が高い=“信頼されている”という印象。
  • 株価への長期的な好影響も。

■ 2. 取引先・パートナーへの安心感

  • グローバルサプライチェーンでは“信用”が第一。
  • 「あの会社、テレビCMやってるんだ」は、安心材料になる。
  • 特に海外の取引先への“信頼性パフォーマンス”として機能。

■ 3. 人材獲得と採用強化

  • 知名度が低いと、そもそも学生のエントリー数が少ない
  • CMで“会社の顔”を広く出すことにより、志望動機の入り口を作る
  • 「聞いたことある企業」に入社したいのは、就活生の心理。

■ 4. 従業員のモチベーションと誇り

  • 自社CMを家族が見て「うちの会社がテレビに出てる!」と盛り上がる。
  • 組織内ブランディング・帰属意識の強化にも繋がる。

ブクブー
ブクブー

「実家で親に『この会社に勤めてるよ』って言える誇らしさ、大事だブー!」


第3章:素材メーカーCMが“最近増えている”理由とは?

2020年代に入り、特に目立つようになった素材メーカーのCMラッシュ。
その背景には、社会と経済の変化がある。


■ 1. 日本の製造業は「縁の下」すぎた

  • 自動車・家電メーカーは有名だが、その中核部品を支える素材企業は無名
  • 「知名度が低い=価値が低い」と誤解されがち。
  • 今こそ存在感を可視化する必要が出てきた。

■ 2. サプライチェーンの地政学リスク

  • 米中対立やウクライナ戦争などで、安定供給できる日本企業への期待が急増
  • 安全保障や環境対応(GX)で注目される素材産業に、広報の“投資価値”が出てきた

■ 3. 人手不足と理系離れ

  • 製造・素材分野での若手人材が年々減少。
  • 特に、“地味な会社”には学生が来ない
  • CMによって「かっこよくて未来のある会社」という印象を与えたい。

ブクブー
ブクブー

「若者に見つけてもらえなきゃ、どんな技術も埋もれちゃうブー!」


第4章:「一般向けじゃないCM」が放つメッセージとは?

素材メーカーや重工業のCMには、ある種の“美学”や“哲学”が漂う。

たとえば――

「見えないところで社会を支える」
「未来の技術に貢献する」
「私たちは、誰かの“当たり前”を守っている」

こうしたメッセージは、自己主張ではなく、存在の肯定に近い
“CMを通して社会に語りかけている”という感覚だ。

POINT
  • 「商品を売る」のではなく、「企業の存在を売る」
  • 宣伝ではなく、「社会との対話」

第5章:「それ、ウチには関係ないよね?」と思った人へ

CMを見た視聴者が、
「それって一般人には関係ないよね?」と感じるのは、
ある意味では“正しい違和感”だ。

でも、それこそが“狙い”でもある。

関係ない人にすら名前が残るほどの企業=業界の中では一目置かれる存在。
いわば「CM=業界内の看板建築」。

それは広告の“外側”にある、社会的信用のマーケティングなのだ。


結論:「売らない広告」は、未来を買っている

結局のところ、素材メーカーのCMとは
「今すぐの売上」ではなく、「未来の信用」を買っている行為。

その投資は、取引・採用・社会的認知という
あらゆる場面での「ブランドの下支え」となっている。

ブクブー
ブクブー

「CM見て『誰向け?』って思ったら、それが“企業CM”の成功だと思えばいいブー!」

  • CMは売るためだけのものじゃない
  • 信用、採用、取引、認知…あらゆる“間接効果”のための戦略
  • 社会との“会話”としての広告

次にあなたが「???」と感じるCMを見たとき、
それが“誰向け”で、“何を伝えているか”を考えると、
広告の見え方がガラリと変わるかもしれない。

テレビ企業経済
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