「糖尿病」って、よく聞くけど実際どんな病気かピンとこない。
そんな人、意外と多いのではないだろうか。
名前だけを聞くと、
「尿に糖分が出る病気?それってそんなにヤバいの?」
と思ってしまうのも無理はない。
ところが、この病気の本質は“尿”ではなく“血”にある。
そのため、医学を少しでもかじった人ほど、こう思う。
「正直、“糖尿病”って名前、ミスリードじゃない?」
──まさにその通り。
実際の糖尿病は、もっと深刻で、もっとわかりにくい。
だからこそ本記事では、あのモヤっとする病名の謎とともに、糖尿病の本質をわかりやすく解説していく。
【第1章】そもそも尿に糖が出る理由
糖尿病とは、簡単に言えば血糖値が異常に高い状態が続く病気。
血液の中に糖が多すぎると、身体が処理しきれず、
ついには尿にまで糖分が漏れ出してしまうのだ。
これは「尿が甘くなる病気」だから「糖尿病」と呼ばれる…という単純な話ではない。
実際、昔の人がこの病気を見つけたとき、
“おしっこが甘い匂いがする”ことに着目し、病名にその特徴を取り入れた。
だが、尿に糖が出るのは“結果”にすぎない。
本質は血液の中の糖分が異常に高くなっていること。
これが様々な体のトラブルの元凶になる。
【第2章】もっと正確な名前は「高血糖病」?
実際の糖尿病は、「高血糖病」と呼んだ方がしっくりくる。
なぜなら問題は尿ではなく「血液の中の糖分」。
ただし「糖血」という言葉は存在せず、正しくは「血糖」と表現する。
つまり、徹底的に正確さを求めるなら、
高血糖病
これが一番ストレートで、わかりやすい名前だと言える。
【第3章】なぜ高血糖が怖いのか
「血糖値が高い」と聞いても、ピンとこないかもしれない。
しかし、その状態が続くと、体の中では深刻なダメージが進行する。
特に毛細血管への影響は甚大だ。
身体の隅々に張り巡らされた細い血管が傷つき、以下のような症状が起きやすくなる。
- 腎臓の機能低下
- 手足のしびれ、感覚異常
- 最悪の場合、失明
これが糖尿病が「恐ろしい病気」と言われる所以である。
【第4章】1型と2型──違いと共通点
糖尿病には大きく分けて2つのタイプが存在する。
- インスリン(血糖を下げる唯一のホルモン)がほとんど作られない
- 子どもや若い人に多い
- やせ型でも発症する
- 自己管理ができていてもインスリン注射が不可欠
- インスリンは出ているが、必要量に追いつかない
- 中高年や肥満傾向の人に多い
- 食生活や運動習慣と密接に関係
- 生活習慣病の代表格
共通して言えるのは、いずれも血糖コントロールが破綻するということ。
【第5章】糖尿病が「血管の水道トラブル」と考えるとわかりやすい
糖尿病を理解するうえで、こう考えるとイメージしやすい。
体の中の水道管(血管)を流れる水(血液)が、糖分でベトベトになる病気
その結果、配管が詰まったり、劣化して破れたりする。
具体的な合併症例を挙げよう。
- 網膜症(目が見えなくなる)
- 腎症(腎不全・透析)
- 末梢血管障害(足が腐る・切断)
- 心筋梗塞・脳梗塞(血管詰まり)
糖や塩分で“ドロドロ血液”になると、こうしたリスクが高まるのだ。
【第6章】インスリンの重要性と人類の弱点
面白いことに、人間の体は「血糖値を上げるホルモン」はいくつもあるのに、
「血糖値を下げるホルモン」はインスリン1つだけ。
なぜか?
答えは、飢餓の歴史にある。
長い人類の進化の中で、「食べすぎ」より「飢え死に」のリスクが圧倒的に多かったため、
血糖値を下げる仕組みが進化しにくかったのだ。
その結果、現代のような食べすぎ社会では、糖尿病のリスクが急増する。
【第7章】尿糖は“結果”であり“本質”ではない
最後に、改めて強調しておきたい。
- 尿に糖が出る=糖尿病のサイン
- だが、尿糖そのものが最悪の問題ではない
- 本当に怖いのは、血糖値の異常な高さそのもの
最近では逆に、尿に糖を出す薬(SGLT2阻害薬)も存在する。
これは、意図的に尿から糖を排出し、血糖値を下げる最新治療法だ。
つまり、「尿糖=悪」と単純に考えるのは、もはや古い認識である。
【まとめ】病名の誤解が消えた先にある“正しい理解”
糖尿病は、血糖値が上がりすぎて血管や臓器にダメージを与える病気。
本質は“尿”ではなく“血”にある。
そのため、「高血糖病」という呼び名のほうが、遥かに的確かもしれない。
よく耳にするけれど、よくわからない。
そんな病名ほど、真の理解が必要だ。
そして、理解できた今こそ、食習慣・運動習慣を見直すチャンス。
糖尿病は、知れば怖くない。だが、知らないままだと、取り返しがつかなくなる。

「おしっこだけじゃ、済まない病気なんだブー…ちゃんと知って、ちゃんと防ぐブー!」
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