レンタルビデオの時代から一世を風靡した「ゲオ」が、2026年に社名を「セカンドリテイリング」へと変更する。
このニュースが伝わるや否や、SNSでは「え、ファーストリテイリングの親戚?」「狙いすぎでは」などの声が飛び交った──が、今回の社名変更の背後には、サブスク時代を生き抜くための構造的な“決意”が込められていた。
第1章:なぜ“セカンド”なのか──GEOの苦境と転身
1986年、ビデオレンタル事業から始まったゲオ。
だが、今やその本業は風前の灯火。
- 映像コンテンツは Netflix・Amazonプライムなどの定額配信サービスが席巻
- 音楽は SpotifyやApple Music などのサブスクに移行し、CD市場は縮小
- ゲーム市場ですら、 ダウンロード購入が主流になりつつあり、中古ソフトの需要は減退
こうした背景の中、ゲオは早くから中古スマホやブランド品、家電などのリユース事業へ主軸を移行してきた。
もはや「貸す」ではなく「循環させる」時代。
そして、その「リユース」ビジネスに特化したアイデンティティをより明確にするために生まれたのが、新社名「セカンドリテイリング」だ。
第2章:「ユニクロっぽい?」SNSが騒然となった理由
SNS上では「セカンドリテイリング」という名称に対し、
「ファーストリテイリング(=ユニクロの親会社)を意識してる?」との指摘が相次いだ。
確かに…
- 語感が似ている
- “◯◯リテイリング”という形式
- タイミングも、ファーストリテイリングの時価総額15兆円という報道と重なる
そのため、
「二番煎じでは?」
「なんとなく安っぽく感じる…」
といったネガティブな声も見受けられた。
だが、両者の社名の由来は明確に異なる。
社名 | 由来 | 意図 |
ファーストリテイリング | FAST(速さ)+Retailing(小売) | 「スピーディーな小売革命」 |
セカンドリテイリング | second-hand(中古)+Retailing(小売) | 「リユースによる循環型社会」 |
つまり、“セカンド”は「二番」ではなく「再生・再利用」の意志表明なのだ。
第3章:ゲオの未来は「循環」にかかっている
社名の刷新には、「これから何屋として生きていくか」の意思表示が込められている。
ゲオが掲げるのは「リユース業のグローバル・トップランナー」というビジョン。
リユース事業は「中古」ではない。
それは「再配分のプラットフォーム」へと進化している。
- 環境意識の高まり(SDGs、サーキュラーエコノミー)
- 若者の「新品信仰」の相対化(Z世代は中古にも抵抗が少ない)
- 海外市場でも“日本の中古品”は人気(品質が高く丁寧)
この流れに乗るか、それとも沈むか。
社名変更はその決意の可視化でもある。
第4章:「GEO」は“変わる”が“消えない”
今回の社名変更は、2026年10月1日を予定している。
ちょうど創業40周年という節目にあたる。
変更対象は、持株会社である「ゲオホールディングス」であり、
あくまで企業としての旗印を「セカンドリテイリング」へ刷新するという話だ。
つまりこれは、
“さよならGEO”ではなく──
“GEOという遺伝子を未来へ繋ぐための進化”である。
現在のところ、「GEO」という店舗ブランドの名称については廃止の発表はなく、
看板や店名がそのまま残る可能性が高い。
たとえばセブン&アイ・ホールディングスの下で「セブン-イレブン」がブランドを守っているように、
「セカンドリテイリング」のもとでも、私たちの生活に「GEO」が寄り添い続ける可能性は充分にある。
ブランドとは、単なる名前ではない。
それは記憶であり、体験であり、文化だ。
「GEO」は、“終わる”のではなく、“受け継がれる”のだ。

「ボクはまだこれからもゲオで中古ゲーム漁るブー!」
終章:それでも私たちは「貸して、買って、売って、生きていく」
今、世の中は「モノを所有する」から「モノを活かす」時代へと変わりつつある。
ゲオ──いや、セカンドリテイリングが目指すのは、そんな循環型社会の一翼を担う企業体だ。
- 「セカンド」が意味するのは、“2番手”ではなく“もう一度”
- 「リテイリング」が示すのは、“売る”のではなく“届ける”
そこには、ただの中古ビジネスではない、
価値の再創出というビジョンが宿っている。
■ まとめ
- サブスク台頭でレンタル産業は縮小
- 中古品は「再流通の主役」へ進化中
- 「セカンドリテイリング」はその決意の象徴
- ユニクロっぽく見えても、思想はまったく別モノ
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