トロッとしたホワイトソースにチーズがとろけ、ご飯の上には海老や鶏肉がゴロゴロ──
誰もが一度はファミレスで食べたことがある「ドリア」。
その見た目や味のイメージから、「洋風」「西洋料理」「フランス発祥」などと思い込んでいる人も多いのでは?
──ところがどっこい。
実はドリアはれっきとした“日本生まれ”の料理。しかも、誕生の背景にはあるホテルの即興劇的エピソードが隠されていたのです。
第1章:「ドリアってどこの料理?」という素朴な疑問から
ドリアと聞いて連想されるのはこんなイメージではないでしょうか。
- 洋食=海外由来の料理
- ホワイトソース=フランス料理やイタリア料理っぽい
- グラタンっぽい見た目=ヨーロッパ発祥?
しかし海外のレストランで「ドリア(Doria)」と注文しても、まず通じません。
なぜなら──
ドリアは完全なる和製洋食だからです。
つまり、見た目は西洋風でも、中身も発祥もれっきとした“日本のオリジナル”ということなのです。
第2章:ドリア誕生の地は「ホテルニューグランド」!
ドリアが生まれたのは、神奈川県横浜市にある老舗ホテル「ホテルニューグランド」。
昭和初期、日本における西洋料理の最先端だったこのホテルで、ある偶然からドリアは誕生します。
■ ドリア誕生の瞬間(諸説あり)
- 時は1930年代。
- 一人の外国人客が体調不良で「何か食べやすいものを」と要望。
- 当時の総料理長サリー・ワイルが即興でつくったのが、
→ ごはんの上にホワイトソースと具材、そしてチーズをかけて焼くという「ドリア」の原型。
このメニューが話題を呼び、正式に「Shrimp Doria(エビドリア)」として採用され、全国へと広まっていったのです。
第3章:生みの親「サリー・ワイル」とは何者か?
ドリアを発案したのは、ホテルニューグランドの初代総料理長サリー・ワイル氏。
- スイス出身の西洋料理人
- 日本の洋食文化に多大な貢献
- ドリアだけでなく、「プリン・ア・ラ・モード」の考案にも関わった人物
「体調の悪い客のために食べやすい料理を」
という医療的配慮から生まれたドリアは、食の優しさと革新性が融合した日本的洋食の象徴とも言える存在です。
第4章:実は「ナポリタン」や「プリン・ア・ラ・モード」も同じ場所で生まれていた⁉
ホテルニューグランドは、ドリアだけでなく他にも驚くべき“発祥”の宝庫。
| 料理名 | 発祥の地 | 備考 |
|---|---|---|
| スパゲッティナポリタン | ホテルニューグランド | 戦後、進駐軍の残した食材を活用して創案された和製パスタ |
| プリン・ア・ラ・モード | 同上 | 洋風デザート文化を日本に広めた代表格 |
横浜という「異文化の玄関口」であり、
ホテルニューグランドという「食の実験室」だからこそ生まれた和洋折衷の結晶なのです。
- 欧米のメニューに「ドリア」は基本的に存在しない
- 日本で生まれた独自ジャンル=“和製洋食”
- 日本以外の国で出す場合も、”Japanese-style gratin rice”などと説明が必要
つまり「ドリア=日本だけの文化」。
“フランス料理っぽい見た目”にだまされてはいけない!

ドリアは洋食風だけど、実は日本のセンスが光る即興の傑作なんだブー!
フランス料理だと思って注文して「なんじゃこれ⁉」って顔されたくない人は、海外では要注意だブーね…!
おわりに:「見た目フランス、中身は横浜」
ドリアという料理は、「西洋風に見えるけれど、日本的な配慮と工夫で生まれたやさしい発明」です。
それはまるで、異文化と日本文化の融合から生まれた横浜のようでもあり、
ホテルニューグランドの“食のスピリット”が受け継がれた料理でもあります。
次にドリアを食べるときは、ぜひ「横浜の香り」と「日本人の創造力」も一緒に味わってみてください。



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