「お昼ご飯のあとはなんだかぼーっとする」
「満腹になると話が頭に入ってこない」
そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。
実はこの“耳が遠くなる感覚”、単なる気のせいではないのです。
そこには私たちの脳内で分泌されるある“ホルモンのスイッチ”が関係していました──。
第1章:満腹になると耳が遠くなるって本当?
にわかには信じがたい話ですが、
「満腹状態になると、周囲の音に注意が向きにくくなる」というのは、科学的にも説明がつく現象です。
人は食事をとると、
- 体温が上がり
- 副交感神経が優位になり
- 脳が“リラックスモード”に入る
その結果、「聞く」「集中する」といった外部刺激への感受性が一時的に下がることがあるのです。
第2章:鍵を握るホルモン“オレキシン”
この仕組みの中核にあるのが、「オレキシン」というホルモン。
■ オレキシンとは?
- 空腹時に分泌される脳内ホルモン
- 眠気を覚ましたり、覚醒度を上げたりする作用がある
- 糖分を筋肉に取り込む働きもあり、運動パフォーマンスにも影響
つまり、空腹時には脳も体も「狩猟モード」に入り、感覚が研ぎ澄まされているというわけです。
しかし──
■ 食事をとると?
- 糖分や脂質の摂取により、オレキシンの分泌は急激に減少
- 結果、脳は“安心”や“満足”に包まれ、覚醒モードから脱落
これが「耳が遠くなった」「話が入ってこない」という現象の原因なのです。
第3章:「空腹のほうが集中できる」は科学的に正しかった
このホルモンの働きを前提にすると、よく言われる次のような言葉は理にかなっています。
- 「プレゼン前は軽くすませた方がいい」
- 「空腹だと研ぎ澄まされる」
- 「試験前に食べすぎるな」
これらはすべて、オレキシンの覚醒効果を維持するためには有効な行動と言えます。
逆に言えば、満腹時は“インプットよりも休息”に適した状態ということ。
第4章:オレキシンを“うまく使う”コツとは?
■ 集中力を上げたいとき
- 食前の状態をキープする
- 糖分はごく少量に抑える(チョコやブドウ糖タブレット程度)
■ 眠れないとき
- 空腹で眠れないのはオレキシンのせい
→ 少しだけ糖分を摂ると、オレキシン分泌が抑えられて眠りやすくなる
このようにオレキシンは、覚醒と休息のリズムを調整する“脳のモードチェンジャー”として働いているのです。

「満腹でウトウトするのは“贅沢な副作用”だブーね〜!
でも逆に、空腹で耳がよくなるって考えると、ちょっと野生っぽくてワクワクするブー!
「狩りの本能」って、まだ体にちゃんと残ってるんだブーね…!」
まとめ:耳・集中・満腹の関係
- オレキシン=空腹時に覚醒を促すホルモン
- 食事後に減少し、脳はリラックスモードへ
- 「耳が遠くなる」「集中力が下がる」はその結果
- 適切なタイミングで“少しだけ糖分”を摂ることで調整可能
■ おわりに:「満腹で耳が遠い」は、身体からの“おやすみ”サイン
もし会議中に「何か聞き取れないな」「集中できないな」と感じたら、
もしかするとそれは、ランチ後の“オレキシンダウン”かもしれません。
脳と身体は、実に正直にできている──。
そのサインを読み取って、“働き方”と“食べ方”のリズムを整えることも、現代人に求められる知恵のひとつかもしれませんね。



コメント