指紋は、人間の“唯一無二”を証明するもの──。
そう信じてきた私たちに、
ある動物が、そっと異を唱えている。
それが…コアラである。
実はこの動物、人間とほとんど区別がつかない“指紋”を持っているのだ。
第1章:コアラの指に“人間そっくり”の螺旋模様?
ユーカリの葉を食べ、木の上でのんびり過ごすコアラ。
その無防備で愛らしい姿からは想像できないが、
彼らの指先には、驚くほど精密な螺旋模様=指紋がある。
- 渦巻き型のパターン
 - 隆線と谷線の幅や方向
 - 分岐点の位置と密度
 
これらが人間と酷似していることが、実際の鑑識現場で確認されている。
第2章:なぜそんな指紋が?──進化の必然か偶然か
本来、指紋は摩擦力・触感・グリップ力を高めるために進化したもの。
人間やサルなど、物をつかむ動作を多用する動物に多く見られる。
ところがコアラは、サルではなく“有袋類”──
進化的にはまったく別ルートの生き物だ。
それでも彼らには、人間に酷似した指紋がある。
これは、おそらく──
木の枝をつかみ、葉を器用に選り分ける生活の中で、
高い触覚・微細な運動能力が求められ、結果的に指紋という構造を持つようになったのではないか──と推測されている。
進化の「収斂(しゅうれん)現象」とも言える。
第3章:現場では“本当に”混乱が起きている
オーストラリアのニューサウスウェールズ州警察の報告によれば、
コアラの指紋は、高倍率の顕微鏡でも人間と区別が困難な場合があるという。
実際、捜査現場では──
- 施設内に残された指紋が「人間の犯行」と疑われたが、
 - 後に「飼育されていたコアラの可能性が高い」と訂正された事例もある。
 
つまり、これはただの珍説ではなく、捜査や鑑識に影響を及ぼしかねない現実の話なのだ。

「コアラって、あんなにボケ〜っとしてるのに…
指紋だけはリアルすぎるブー!鑑識泣かせすぎるブー〜!」
第4章:“指紋は人間の証拠”という常識が揺らぐ
これまで、指紋は「人間であること」の証明とされてきた。
ときにDNAよりも早く、正確に“犯人”を特定する手がかりとされた。
しかし今や──
その証拠を残したのが、必ずしも“人間”とは限らない。
指紋を残す生物が他にもいるとすれば、
鑑識という分野もまた、再定義が求められる段階に来ているのかもしれない。
第5章:他にもいるの?“指紋を持つ動物”
人間に近いチンパンジーやゴリラも指紋を持つが、
それは「霊長類」同士という納得感がある。
一方で、有袋類のコアラが同様の指紋を持つというのは、
進化論的にも“まれに見る例外”なのだ。
- チンパンジー・ゴリラ → ○
 - ゾウ・サイ・カバ → ×(足裏にしわはあるが指紋ではない)
 - ネコ・イヌ → △(肉球に模様があるが個体識別には弱い)
 
結論:本物の“個体識別できる指紋”を持つ動物はごくわずか。
まとめ
私たちが「人間だけのもの」だと信じてきた指紋。
その“神聖性”が、まさかコアラによって静かに破られていたとは──。
鑑識、証拠、証明、そして進化。
科学の裏側に潜んでいたこのトリビアは、
ただの雑学ではなく、“証拠の意味”を問う逆転の問いかけだったのかもしれない。

  
  
  
  

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