それは“突然”だったのか?
2025年8月14日、世界自然遺産・知床半島の羅臼岳。
登山道で突如ヒグマに襲われた26歳の男性が、命を落とした。
ヒグマによる登山者の死亡は、知床で記録上初めて。
だが、その“前兆”は確かにあった。
- 至近距離での目撃情報の相次ぎ
- 登山者への“つきまとい”行動
- 餌付けと化した観光行動
- そして、駆除された親子グマの存在…
私たちは、野生との“境界線”を越えてしまっていたのかもしれない。
■ 第1章:登山道で起きた“最悪の事態”
▼ 550メートル地点「オホーツク展望」での悲劇
- 2025年8月14日午前、東京都の会社員・曽田圭亮さん(26)が友人と共に下山中にヒグマに襲われる。
- 目撃者である友人は、「助けて」と叫ぶ声に駆け寄り、素手でクマを殴って応戦。
- だがヒグマは曽田さんを引きずってヤブの中へ──
- 翌15日、現場から200m離れた斜面で遺体発見。死因は全身多発外傷による失血死。
▼ 駆除された“親子グマ”
- 捜索中、現場付近にいた親子3頭のヒグマを、ハンターが発砲・駆除。
- 現在DNA検査が進められており、襲撃個体との同一性が調査中。
■ 第2章:すでに鳴らされていた“警鐘”
▼ 同じ登山道で繰り返されていた「接近遭遇」
- 8月10日:登山客(68)が羽衣峠付近で5mの距離で親子グマと遭遇。
- 8月12日:別の登山者がヒグマに数分間“つきまとわれ”、クマ撃退スプレー使用。
- 13日:町の職員がパトロールを行うも、ヒグマ確認されず。

ブクブー
「これ、もう“いつか事故が起きる”って予兆が揃ってたレベルだブー…」
■ 第3章:なぜ“人間を恐れない”クマが生まれたか
▼ 山岳ガイドの警告
知床で20年超の登山ツアーを続ける山岳ガイドの指摘。
「人を見ても逃げなくなってきている」
- ヒグマを近くで撮影・動画投稿しようとする観光客の増加。
- スマホ片手に“距離を詰める”行動が、クマの警戒心を削っていった。
▼ 研究者の見解:ヒグマ行動の“エスカレート”
知床半島のヒグマを研究している研究者の指摘。
「接触が繰り返されることで、ヒグマが“人慣れ”し、行動が大胆になっていく」
かつては逃げていたクマが、今では人を無視、あるいは“観察”し、“つきまとう”。
これが「境界の喪失」である。
■ 第4章:知床の“栄光”と“矛盾”
▼ 世界遺産としての知床
- 2005年に世界自然遺産登録。
- 年間180万人が訪れる日本有数の自然観光地。
- 400〜500頭のヒグマが生息する世界有数の密集地帯。
▼ だが…野生動物と観光客の“ニアミス”は深刻化
- 車内からスナック菓子を与える者も(7月29日目撃)。
- ゴミのポイ捨てが“餌付け”に。
- 市街地への出没も増え、住民が追いかけられるケースも。

ブクブー
「人間が“自然に入る”んじゃなくて、“自然のルールを壊してる”ようにも見えるブー…」
■ 第5章:失われた“距離”をどう取り戻すか
▼ ゾーニングと立ち入り禁止の再設計
- 危険地帯には“即時閉鎖”を。
- 至近遭遇が相次ぐ区域では、入山前に警告とリスク共有を徹底。
▼ 知床だけの問題ではない
- 2025年7月にも、道南・福島町でヒグマに襲われ男性死亡。
- 今後、温暖化とともにヒグマの生息範囲が本州以南にも広がる懸念。
POINT:ヒグマと出会ってしまったら?
- 決して背を向けて走らない
- 音を立てて存在を知らせる(鈴など)
- 近づかれたらゆっくり後退、距離をとる
- クマ撃退スプレーは有効だが、使い方を事前に確認
- 子グマがいても絶対に“可愛い”と近づかない!

ブクブー
「“山ではヒトが“異物”だ”って気持ちを持つべきだブー…」
■ 結び:この痛ましい死を“無駄”にしないために
ヒグマは、もともと“人を襲う”動物ではない。
人間がルールを破った時、
“自然”がそれに対して応答する──
それが今回の事件だったのかもしれない。
登山は、自然との対話であり、敬意がなければ成立しない。
曽田さんの死が、今後の安全策の強化や、
“野生との正しい距離”を考えるきっかけになることを願ってやまない。

ブクブー
「自然は、優しくもあり、容赦なくもあるブー…。
だけど、それを忘れたのはきっと、ボクたち人間の方だったブー。
“共に生きる”って、距離を知ることから始まるんだブー…。」
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