2025年11月8日、土曜日の深夜。人気絶頂の7人組ダンスボーカルグループ・BE:FIRSTのファン「BESTY」たちに、一本の冷たい刃が突き刺さった。公式サイトに、あまりにも短い、しかし決定的な一文が掲載されたのだ。
「RYOKIが、2025年11月8日をもちましてグループから離れることをご報告申し上げます」
半年前から事実上の活動休止状態にあったとはいえ、「一時休止」という言葉を信じ、7人での完全復活を待ち望んでいたファンにとって、それは最悪のシナリオであった。
わずか半年あまりの間に、彼の身に一体何があったのか。元婚約者との“1億円結婚詐-欺”トラブル、人気女優・趣里との電撃婚と第一子の誕生、そして、グループ初のベストアルバム発売直後という、あまりにも不可解なタイミングでの脱退劇。
「独り立ちして稼げるようになって、趣里と子供を守っていく」。
関係者にそう語ったという彼の決意は、新たな家庭を守るための、一人の男としての“誠実さ”の表れなのか。それとも、自らが招いたスキャンダルから逃れ、グループという責任を放棄した、身勝手な“裏切り”なのか。
本稿は、三山凌輝、またの名をRYOKIという一人の若きスターが、栄光の階段を駆け上がると同時に、いかにしてその足元を崩されていったのか、その全軌跡を、あらゆる情報を基に再構築する、総合的なドキュメントである。
第一章:全ての始まり──週刊文春が投じた、キャリアを揺るがす“二つの爆弾”
2025年の春まで、三山凌輝のキャリアは、まさに順風満帆であった。
SKY-HIが主催したオーディション『THE FIRST』で、その圧倒的な表現力とカリスマ性を見出され、BE:FIRSTのメンバー「RYOKI」としてデビュー。俳優「三山凌輝」としても、映画やドラマで着実にキャリアを積み重ね、グループのフロントマンとして絶大な人気を誇っていた。
しかし、その輝かしい世界の裏側で、彼の私生活は、すでに時限爆弾を抱えていた。
- 【第一の爆弾】:2025年4月、元婚約者との“1億円結婚詐欺”トラブル報道
- 『週刊文春』が報じたのは、人気YouTuberでアパレル会社社長のRちゃん(大野茜里氏)と、三山が極秘に婚約していたという衝撃の事実だった。
- 記事は、二人の関係が婚約破棄に至った経緯と、その過程でRちゃんが三山に対し、高級マンションの家賃や生活費など、総額1億円とも言われる多額の金銭的援助を行ってきたという、異様な関係性を詳報した。
- 【第二の爆弾】:2025年5月、女優・趣里との結婚予定報道
- 第一報の衝撃が冷めやらぬ中、『週刊文春』はさらに、三山がRちゃんとの関係と並行して、朝ドラヒロインも務めた実力派女優・趣里と交際しており、結婚を予定していると報じた。
- この報道により、事態は単なる金銭トラブルから、二股交際の疑惑へと発展。クリーンなイメージが生命線であるボーイズグループのメンバーとして、これは致命的なスキャンダルとなった。
第二章:混乱と“懺悔”──迷走する本人と、事務所の苦悩
文春砲を受けた後の三山の対応は、混乱を極めた。そして、その対応が、さらなる泥沼化を招いていく。
- 本人の“懺悔”インタビューと、元婚約者の“反論手記”
- 5月中旬、三山は異例の対応に出る。自ら『週刊文春』のインタビューに応じ、「彼女(Rちゃん)に甘えてしまった」「他の女性と会ったのは事実」と、一部の非を認める“懺悔告白”を行ったのだ。
- しかし、この告白に対し、Rちゃん側は納得しなかった。彼女は、約3900字にも及ぶ詳細な「反論手記」を同誌に寄せ、三山の告白が事実の一部しか語っていないと主張。二人の間の食い違いは、埋めがたいものとなった。
- 独立と活動休止という“決断”
- この泥沼化を受け、5月下旬、三山は所属事務所からの「独立」を発表。「今後は『自分自身で歩むべき』と考え、独立するという結論に至りました」とコメント。
- 同時に、BE:FIRSTとしての活動も、当時進行中だったワールドツアーが終了する7月5日以降、「一時休止」することが発表された。
この時点での事務所側の対応は、あくまで「復帰」を前提としたものであった。マネジメント側は「法令に違反していることはないと確認している」と三山を擁護し、「休止」という言葉で、彼が戻る場所を残そうとしていた。
しかし、この後、三山は事務所の思惑とは全く異なる道を、驚くべきスピードで突き進んでいくのである。
第三章:「守るべきもの」の誕生──結婚、出産、そして脱退への序曲
活動休止期間中、三山は、世間の想像を遥かに超える、人生の大きな決断を次々と下していく。
- 2025年8月29日:趣里との結婚、そして妊娠を発表
- 活動休止からわずか2ヶ月弱。三山と趣里は、それぞれのインスタグラムで結婚を電撃発表。さらに、趣里が第一子を妊娠していることも同時に明かされた。スキャンダルの渦中にあった男が選んだのは、新たな家庭を築くという道であった。
- 2025年9月26日:第一子の誕生
- 結婚発表から約1ヶ月後、二人は第一子が誕生したことを連名で報告。そのインスタグラムの投稿には、彼の新たな決意が、力強く綴られていた。
- 「今まで通り家族としての愛や絆、全てにおいて私達が持っている真実を大切にし、守るべきものを必ず守っていきます」
この「守るべきもの」という言葉。ファンは、そこに「BE:FIRST」というグループも含まれていると、信じていたかもしれない。しかし、彼が本当に見つめていたものは、全く別の場所にあった。
関係者によれば、この頃から、三山は事務所側との話し合いの中で、「独り立ちして稼げるようになって、趣里と子供を守っていく」という思いを強く訴え、グループからの完全な「脱退」を、かたくなに求めるようになっていったという。
事務所側は、長らく彼を引き留めようと話し合いを重ねてきた。しかし、彼の意志は固かった。新たに父親となった男の責任感が、彼をグループとの決別へと向かわせたのか。それとも、グループに迷惑をかけたという負い目が、彼をその場所から遠ざけたのか。

「うーん…結婚してお父さんになったんだから、家族を守りたいっていう気持ちは、すごく分かるんだブー…。でも、BE:FIRSTのメンバーやファンも、彼にとっては守るべき大事な存在じゃなかったのかな…?すごく、難しい問題なんだブー…」
第四章:なぜ、このタイミングだったのか──ベスト盤発売直後の“冷や水”
そして、運命の日、2025年11月8日。
なぜ、脱退の発表は、このタイミングでなければならなかったのか。
- ベストアルバム『BE:ST』発売という“区切り”
- 脱退発表のわずか10日前、10月29日に、BE:FIRSTはグループ初となるベストアルバム『BE:ST』をリリースしたばかりであった。
- 音楽ライターは、このベストアルバムのリリースが、一つの「区切り」になったと指摘する。事務所としては、彼の活動休止後も、7人体制の集大成であるこの作品を世に送り出すまでは、脱退という最悪の事態を公にしたくなかったのかもしれない。
- しかし、ファンにとっては、7人の軌跡を祝うべき記念盤が、皮肉にも、7人体制の終わりを告げる弔鐘となってしまった。宣伝活動に力を入れている時期に、冷や水を浴びせる最悪のタイミングだった、という見方もできる。
- 『Bye-Good-Bye』という、あまりにも皮肉な結末
- このベストアルバムのCD1のラストを飾る楽曲は、『Bye-Good-Bye』。奇しくも、別れを歌ったこの曲が、RYOKIがBE:FIRSTとして参加する、最後の公式音源となった。
終章:「守るべきもの」の“代償”──彼が失ったもの、そして進む道
「守るべきものを必ず守っていきます」
子供の誕生に際し、三山凌輝が誓ったその言葉は、嘘ではなかったのだろう。彼は、自らの手で築いた新しい「家族」という城を守るために、BE:FIRSTという、かつて彼をスターダムに押し上げた巨大な「城」を、自ら去ることを選んだ。
しかし、その決断は、あまりにも多くのものを代償としている。
- ファンへの裏切り: 7人での復活を信じ続けた「BESTY」たちの想いは、最も残酷な形で裏切られた。
- メンバーとの絆の断絶: 共に夢を追い、苦楽を分かち合った6人の仲間たちとの絆もまた、この決断によって、少なくとも公の場では断ち切られた。
- 恩師SKY-HIへの背信: 彼を見出し、育て上げたプロデューサー・SKY-HIの期待にも、彼は応えることができなかった。
今後、三山凌輝は、俳優業に専念するという。グループという巨大な後ろ盾を失い、スキャンダルのイメージを背負ったまま、彼は茨の道を一人で歩き始めなければならない。彼が守ろうとした「家族」は、彼が失った「仲間」や「信頼」の大きさと、果たして釣り合うものであったのか。
その答えは、彼自身が、これからの俳優としての生き様で、証明していくしかない。
一方、残された6人のBE:FIRSTもまた、大きな傷を負いながら、新たな一歩を踏み出す。
「それぞれの夢を叶えるためには、別々の道を歩むことが最善だと判断いたしました」。
公式発表に綴られたその言葉を、ファンが本当の意味で受け入れられるようになるまでには、まだ、長い時間が必要だろう。

「誰が正しくて、誰が間違ってるなんて、簡単な話じゃないんだブー…。でも、一番悲しいのは、7人のBE:FIRSTをもう見られないことなんだブー…。残されたメンバーも、ファンのみんなも、今はすごく辛いと思うんだブー…」



コメント