“1日2時間”のスマホ制限に意味はあるか──条例が見落とした現実と、自治体の役割とは?

政治
この記事は約4分で読めます。

2025年9月── 愛知県豊明市がある条例案を定例議会に提出予定です。
可決されれば、全国初となる“スマホ利用時間の目安を定めた条例”が10月1日に施行される見通しとなります。

スマホの使用は、仕事・勉強以外で「1日2時間」までを目安に。
対象はなんと、市民すべて

対象年齢や職業の区別なし。
罰則もないとはいえ、全国初の“全住民対象スマホ制限条例”に、
ネット上では多くの困惑と反発の声が上がっています。


スポンサーリンク

■ その名も『豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例』

◆ 条例の主なポイント

  • スマホ・PC・タブレットなどの使用を「1日2時間」までに(仕事・勉強以外)
  • 18歳未満の利用時間制限:小学生は21時/中高生は22時まで
  • SNSや動画視聴による“依存”に警鐘
  • 市・学校・保護者が連携し、適正使用を推進
  • 罰則なし、“努力目標”としての制定

一見、ただの“理想的なライフスタイルの提案”にも見えるこの条例。
しかし、世論は「いや、そこが問題なんだ」とざわついているのです。


■ 批判の声に共通する“モヤモヤ”

◆ 「2時間って、なにを根拠に?」

「制限の数字はどこから? 科学的根拠はあるのか?」

この問いが、最も多くの人の口からこぼれた疑問です。
条例の2時間という数字は、「子どもに多いスマホ依存」などを根拠にしたものとされていますが──

  • 具体的なデータ提示はなし
  • 大人も子どもも一律に“2時間”の線引き
  • 創作や勉強、読書までも制限される可能性?

といった実態とのズレが問題視されています。


◆ 「時代錯誤」「行政の押しつけ」という声も

SNSや動画視聴など、いわゆる“娯楽的利用”が問題視されているようだが、
それらが“無意味”とされる時代は、もう終わっている。

  • YouTubeで勉強する高校生
  • SNSで情報発信する若者クリエイター
  • 漫画アプリで活字離れを防ぐ小学生

今の社会において、“仕事や勉強”と“娯楽や創作”の境界線は曖昧です。

それを「2時間」という数値で一律に括るのは、あまりに単純で乱暴。


■ 地方条例が“生活設計”に口を出す危うさ

◆ 努力目標であっても、影響は大きい

条例に罰則はありません。
ですが、「条例として存在する」ということ自体が社会的メッセージになります。

  • 学校が「市の条例だから」と従わせる
  • 保護者が「条例で決まってるから」と子どもに強制する
  • 周囲が「スマホを長時間使ってるのは不健全」と同調圧力をかける

こうした見えない強制力は、条例以上に人々の行動を縛ります。


◆ 問題は「市民に委ねるべき部分に、行政が踏み込んだ」こと

「家庭での教育」「自主的な判断」「個々の利用実態」
本来、こうした部分は市民自身が考え、選ぶべきものであり、
行政が“あるべき姿”を押しつけるのは越権ではないか?
という根本的な懸念も広がっています。


■ なぜ今、自治体は“使用時間”に踏み込むのか?

◆ 背景には「家庭内の無力感」がある?

実は豊明市だけではなく、2020年には香川県が「ゲーム条例」を制定し、
やはり大きな議論を呼びました。

この背景には共通して、
家庭内での“スマホ・ゲーム制御の限界”が見え隠れしています。

  • 子どもが言うことを聞かない
  • 保護者自身も依存してしまう
  • 家庭だけでは限界がある…

本来なら「家庭内でのルール作り」に委ねるべき課題を、行政側が“上から”制度化しようとしているようにも見えます。
背景にあるのは、子どもを取り巻くデジタル環境への“漠然とした不安”や、保護者のコントロールの難しさを巡る社会的空気かもしれません。


■ 教育・啓発・支援という“本来の道”は?

スマホ利用を考えるきっかけにしてほしい

条例の趣旨はここにあります。
ならばなおのこと、数字で縛るより「考える材料」を提供する方が効果的ではないでしょうか?

  • 使用履歴の見える化
  • 学校でのメディアリテラシー教育
  • 家庭との対話のためのワークショップ

こうした支援的・教育的アプローチこそが、自治体のあるべき姿なのでは──という声も強まっています。

ブクブー
ブクブー

「行政の「良かれと思って」が、
意外と“モンスター条例”になることもあるブー…
大事なのは、ルールじゃなく“対話”と“自律”を育てること。
それができないと、
どんな数値目標も「形だけ」になってしまうブー〜」


【まとめ】“数値でしばる自治”の先にあるもの

  • 豊明市の条例は「全市民に1日2時間スマホ制限」の努力目標
  • 科学的根拠や使用実態の多様性を無視した一律的な数値設定
  • 家庭の問題を条例化することへの懸念と、行政の越権への批判
  • 今こそ必要なのは「制限」より「教育と支援」、そして「対話」

便利だからこそ、使い方を見直すことは大事。
ですがその見直しを、“上からの指示”でやる時代は、もう終わりにしませんか?

自治とは、強制ではなく、共に考えること。

NEWS OFFは、そんな視点を忘れずに問いかけていきます。

政治社会
スポンサーリンク
NEWS OFFをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました