2月に入り、寒さも本格化するこの季節。外に出た瞬間、思わず体がゾクッとし、自分の意思とは無関係に体がガタガタと震え出した経験は誰にでもあるだろう。
不快な現象だが、実はこれこそが人間が過酷な環境下で生き延びるための、極めて精巧な「自動防衛システム」の発動音なのである。
人間の体温は、赤道直下の砂漠にいようが、極寒の雪山にいようが、概ね36.5度前後に保たれている。
わずか数度の変動が生死に関わるこの数値を死守するため、我々の脳と筋肉は無意識下でどのような連携プレーを行っているのか。
本稿は、寒さと恐怖が生み出す「震え」のメカニズムを解剖生理学の視点から紐解くレポートである。
第一章:筋肉は「自家発電機」である
なぜ寒いと震えるのか。その答えを一言で言えば、「筋肉を無理やり動かして、熱を作っているから」である。

- 脳からの緊急指令
- 皮膚や血液の温度低下を感知すると、脳にある「体温調節中枢(視床下部)」が「体温が下がっている!危険だ!」と判断する。
- 脳は即座に全身の筋肉に対し、「収縮と弛緩を繰り返せ」という指令を送る。これが「震え」の正体である。
- シバリング(震え産熱)
- 医学用語ではこれを「シバリング(Shivering)」と呼ぶ。
- 運動をしていない状態でも、筋肉を細かく痙攣させることで、強制的に運動時と同じような代謝熱を生み出すことができる。
- つまり、貧乏ゆすりや歯のガタツキは、体内で緊急用のストーブを焚いている状態と同義なのである。

「ええっ!?脳が勝手に筋肉を操ってるんだブー!?自分の意思じゃないのに体が動くなんて、ちょっと怖いけどすごいシステムだブー…。」
- 緊急指令: 皮膚や血液の温度低下を感知すると、脳の司令塔である「視床下部(ししょうかぶ)」が「体温低下!危険!」と判断する。
- 強制運動: 脳は即座に全身の筋肉に対し、「収縮と弛緩を繰り返せ」という指令を送る。これが震えの正体であり、医学用語では「シバリング(Shivering)」と呼ぶ。
- 効果: 運動をしていない状態でも筋肉を細かく痙攣させることで、強制的に運動時と同じような代謝熱を生み出し、体温を上げようとする。
第二章:「鳥肌」と「歯のガタガタ」の正体
震え以外にも、寒冷時に現れる身体反応にはすべて合理的な理由がある。

- 歯がガタガタ鳴る理由
- これもシバリングの一種である。顔の筋肉、特に顎を動かす「咬筋(こうきん)」などが熱を作ろうとして収縮を繰り返すため、結果として下顎が激しく動き、上下の歯がぶつかり合って音が出る。
- 鳥肌が立つ理由
- 皮膚の表面にある「立毛筋(りつもうきん)」という小さな筋肉が収縮することで、毛穴が閉じ、毛が逆立つ現象。
- 断熱効果(毛皮の名残): 本来、毛に覆われた動物であれば、毛を逆立てることで皮膚と外気の間に空気の層(断熱層)を作り、保温効果を高めることができる。人間には毛が少ないため効果は薄いが、進化の名残として機能だけが残っている。
- 放熱の抑制: 毛穴をギュッと閉じることで、体内の熱が外へ逃げるのを防ぐ役割も果たしている。

「なるほどだブー!鳥肌は、昔人間が毛むくじゃらだった頃の名残なんだブーね。今はもう毛がないのに、体だけは昔の防寒対策を覚えてるなんて健気だブー…。」
第三章:なぜ「怖い」ときも震えるのか?
「武者震い」や「恐怖で足がすくむ」という言葉があるように、寒くない場面でも体は震えることがある。実はこれも、目的は違えど同じメカニズムが働いている。

- アイドリング機能
- 恐怖や極度の緊張を感じると、脳は「戦うか、逃げるか(Fight or Flight)」の準備態勢に入る。
- いざという時、瞬時に筋肉をトップスピードで動かせるよう、あらかじめ筋肉を収縮させて予備運転(アイドリング)を始めているのだ。
- 「怖いときの震え」は、敵から全力で逃げる、あるいは戦うための、筋肉のウォーミングアップなのである。
終章:不快な「震え」への感謝
結論として、寒さによる震えも、恐怖による震えも、すべては「生命を守る」という一点において共通していた。
脳が指令を出し、筋肉が熱を作り、毛穴が閉じて熱を逃がさない。
我々が「寒い、嫌だな」と背中を丸めているその瞬間にも、体内では36.5度という生命線を守るために、全自動のサバイバルシステムがフル稼働しているのである。
次に冬空の下で歯がガタガタと鳴った時は、それを単なる不快な現象としてではなく、自分の体が懸命に生きようとしている「生命の音」として聞いてみてはいかがだろうか。



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