
「パンキュパイ〜!パンキュパイ〜!いきなり何の呪文かと思ったブー!でもなんかクセになるブー!」
ふと見かけたテレビ番組の中で、何やら全力で踊る小柄な女性が、突如あなたのツボを直撃する。
そう、彼女の名は──キンタロー。
一世を風靡した“前田敦子”モノマネで一躍スターダムにのし上がった彼女は、現在も止まることなく、芸という名の大海を泳ぎ続けている。
では、なぜ今なお「キンタロー。」は笑えるのか?そして、なぜ彼女のネタは、我々の“心”を的確に掴んで離さないのか?
その秘密を、NEWS OFF流に紐解いていこう!
【1】一撃必殺型モノマネの“構造”と“誇張”
キンタロー。の芸風をひと言でまとめるなら、
「誇張と抽出の天才」だ。
代表作の“前田敦子”モノマネ。
本人がAKB卒業前のステージで涙ながらに放った名セリフ──
このフレーズを、キンタロー。はこう変える。
──キャイ!?
観客の頭にはてなマークが浮かびつつも、彼女の妙に膝を突き出したダンス、凄まじい形相の決め顔、全身全霊の“キャイ!”の一声が、なぜかあっちゃんの記憶と結びついてしまう。
このいきすぎた誇張が、“本人っぽさ”を逆に際立たせている。

「リアルさより“分かるぅ〜”が勝つってことブー!」
そう、“笑い”とは共感である。そしてキンタロー。は、その共感を“造形”する力に長けているのだ。
【2】笑いの“タイムラグ”を演出する
キンタロー。のネタには「懐かしさ」と「今さら感」が絶妙に混在している。
──たとえば、“トゥームレイダー”のアンジェリーナ・ジョリー。
──あるいは、北京五輪の天才少女・林妙可(リン・ミャオクー)ちゃん。
かつて強烈に印象に残ったが、今はすっかり記憶の奥に埋もれた存在。
そんな“やや風化した人物”を、あえて“今”このタイミングで引っ張り出す。
これによって生まれるのが、「時をズラす笑い」だ。笑いは「ズレ」から生まれる。その“ズレ”を時間軸で設計できるのが、彼女のセンス。
まるで笑いのタイムトラベラーだ。
【3】“全力×異物感”というアンチ構造
キンタロー。の芸の最大の特徴は、
「崩壊ギリギリの全力演技」だ。
- 声も動きも常に全力
- 衣装も仕草も奇抜
- 照れや遠慮ゼロの突き抜け感
でも、それこそが観客に刺さる。
普通の人がためらう“変顔”も、彼女は堂々と笑いに変える。
その異物感、強烈なインパクト。だが、踊りや演技の技術は本物。
──このギャップが“面白さ”を加速させるのだ。
【4】選定の“異常さ”自体がネタになる
近年のキンタロー。は、単に似せるだけの芸人ではない。
例えば──
- “シャイニング”のジャック・ニコルソン
- ゲーム『スーパーマリオ』シリーズの“ドッスン”
- 北京五輪で見た天才子供トランペッター
- etc…
などなど、「なぜそれを選んだ!?」という驚きがまず笑いになる。
つまり、
という笑い。
“誰をやるか”の時点からネタが始まっている。
これはもう芸人というより、
演出家的な目線を持った“笑いの構築者”なのだ。

「その手があったかブー!って言わせるチョイス、クセになるブー!」
【5】“怒られない”ラインの嗅覚
誇張系モノマネには常に危険が伴う──
「やりすぎて怒られるリスク」だ。
しかしキンタロー。はこのライン感覚が絶妙。
- 特徴だけを誇張し
- 人格は傷つけず
- どこか愛を込めて仕上げる
そのため、多くの本人たちが
「面白いからOK」
と許してきた。
これはただのギャグセンスではなく、
“愛される毒”の設計者としての実力なのだ。

「毒にも薬にもなるブー。でも“甘い毒”なら、また見たくなるブー!」
【6】パンキュパイの謎──“崩壊”が生む創造
ボン・キュッ・ボン!ボン・キュッ・ボン!ボン・キュッ・ボン!
→ パンキュパイ〜 パンキュパイ〜!
この“言語の崩壊”が生み出すリズム感、
「意味が分からないけどクセになる」不条理な世界観。
まさに“笑いの化学反応”。
キンタロー。は、意図的に崩してくる。崩して、ズラして、意味不明にして、
「え、なにそれ!?でもなんか好き」を誘発する。
【6.5】パンキュパイとは何か──原典と崩壊の構造
“パンキュパイ”とは、キンタロー。が披露するネタのひとつ。
実はこれ、単なるオリジナルワードではなく、
「ボン・キュッ・ボン!」という古典的ボディライン形容語をベースにしている。
ボン!(胸が豊か)
キュッ!(ウエストが細い)
ボン!(ヒップが丸い)
これを高速反復し、リズムに乗せながら狂気的に連呼することで、
と、音韻が意図的に崩壊し、謎のワードへと変化していくのだ。
この“崩壊変換”が、
言葉の意味性を脱構築し、リズムと熱量だけを残すという
キンタロー。芸のひとつの極致でもある。

「つまり“パンキュパイ”は、意味じゃなくて…情熱そのものなんだブー!!」
【7】今、再評価される理由
現代の笑いは、
「コンプライアンス」という名の壁に包囲されている。
誰もが正しさを求め、笑いがどんどん無菌化していく中で、
キンタロー。の芸は“全力の異物”として際立つ。
「ここまでやってくれたら、もう笑っていいよね?」
という安心と快感。
これこそが、彼女が“今”再評価される理由だ。
【まとめ】笑いのシャーマン、キンタロー。
・時代の“ズレ”を突き
・異物感を武器にし
・誰を選ぶかで勝負する
──キンタロー。は、芸人であり、演出家であり、笑いの考古学者であり、そして“笑いのシャーマン”だ。

「パンキュパイ〜!また笑いに来るブー!」
笑いの準備は、いつでもできている。
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