「パンダの指は、じつは“7本”あるらしい──」
そんな都市伝説のような話を、耳にしたことはあるだろうか。
たしかに彼らは、竹を器用につかみ、まるで人間のように食事をこなす。
だが、その裏に潜むのはただの“可愛さ”ではない。
それは、生き延びるために進化が仕掛けた、とてつもなく合理的な“奇策”だった。
私たちが見逃してきた、あの手のひらの“もう2本の指”──
そこには、進化の執念ともいえるドラマが隠れていた。
第1章:パンダが竹を持つ姿は、なぜあんなに器用なのか?
竹を両手で持ち、カリカリと音を立てて食べるパンダ。
その愛らしい姿は、動物園の人気者である所以でもあります。
しかし…ちょっと待ってほしい。
あの器用な手つき、何か不思議に思いませんか?
どうして、あんなに“人間っぽく”竹を握れるのか?
その秘密は、「指の数」に隠されていました。
第2章:指は5本じゃない!?「7本の指」のカラクリ
通常、哺乳類の前足(手)は5本指が基本です。
人間も、ネコも、犬も、クマも──基本構造は同じ。
パンダも一見そう見えますが、実は「7本」あるというのです。

…ただし、そのうち2本は“ニセモノ”の指。
本物の指5本に加え、手のひらの2つの“突起”が、まるで指のような働きをしているのです。
第3章:その“ニセ指”はどこから来たのか?
科学的に言えば、これは「骨の変化によってできた突起」。
とくに親指側にある突起は、「橈側種子骨(とうそくしゅしこつ)」と呼ばれる小さな骨が肥大化したもの。
この突起が“仮の親指(パンダサム)”として機能し、
反対側(小指側)の突起と一緒に竹をしっかり挟む“支点”を形成しているのです。
言うなれば──
進化が生んだ“天然のトング”とでも呼ぶべき構造です。
第4章:なぜそんな指が必要だったのか?
野生のパンダにとって、竹は主食。
1日に10kg以上の竹を食べるとも言われています。
しかし竹は…
- 細くてツルツルすべりやすい
- 芽や茎を選り分けて食べるには器用さが必要
つまり、竹を食べて生き抜くには、ただの前足では不十分だったのです。
手の構造を変えてでも、竹に適応せねばならなかった。
その切実な事情が、7本指の“奇跡”を生んだのです。
第5章:進化がもたらした“偶然の必然”
この“偽の指”は、かつてダーウィンも気づいていたと言われるほど古くから知られ、
一部の進化論者たちは「収斂進化(しゅうれんしんか)」の一例として注目しています。
異なる系統の生物が、似た環境・目的に適応する過程で、似た形態を持つようになる進化のこと。
例:パンダと人間の“つかむ能力”。
パンダの“7本指”は、まさにそれ。
人類のように道具は使えなくても、竹を道具のように扱う力を、進化のなかで手に入れたのです。
第6章:そして今日も──パンダは竹を握る
パンダの手は、見た目こそ愛らしいものの、
その構造には厳しい生存競争の痕跡が刻まれている。
「可愛い〜!」と見ていたその瞬間も、
実は600万年の進化ドラマが、そこには隠れていたのです。

「竹を握るあの手に、そんな秘密があったなんて…驚きだブー!
進化ってスゴすぎるブー!パンダ先輩、尊敬するブー!!」
- パンダの手には実質“7本”の指がある
- うち2本は手のひらの突起で、偽の指
- 竹をつかむために“天然のトング”構造を進化させた
- 人間に近い“握る”能力は、収斂進化の賜物
- “可愛い”だけではない、進化のリアリズムがそこにある
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