近年注目を集めているNHKのバラエティ番組、「神田伯山のこれがわが社の黒歴史」。
ここで不思議に思うのが、なぜNHKなのに堂々と企業名を出し、しかも企業の“黒歴史”にまで踏み込めるのか?という点。
また、多くの民放番組がスポンサーとの兼ね合いで企業名の扱いに慎重になるなか、NHKだけができているこの芸当。
そこには、NHKという組織ならではの構造的な理由がありました。
理由1:スポンサーが存在しない
NHKは受信料制度によって運営されており、番組にスポンサーが付きません。
つまり、民放であれば当たり前に存在する「広告主の顔色をうかがう」という行為が不要です。
- 民放の場合
広告主に不利な内容を放送するとスポンサー離れが起こり、収益が減るリスクがある。 - NHKの場合
スポンサーの意向に左右されないため、忖度抜きでコンテンツを制作できる。
→「自由な批評」が可能な土台が整っている。
理由2:公共放送としての“中立・公平”
NHKは「公共放送」の立場にあり、放送法によって中立・公平な放送が求められています。
- ある企業を持ち上げるだけでも、叩くだけでもいけない。
- だが、歴史の一部としての「黒歴史」を扱うのは、公平性を保った「事実の提示」にあたる。
しかも、「黒歴史」として紹介されたあと、必ず企業の成長や改善点、教訓も描かれる。
→単なる暴露ではなく、成長物語として構成している。
結果、公共放送の役割である「健全な社会的議論を促す」ことにもつながり、むしろNHKらしさが際立つ内容になっています。
理由3:番組構成が絶妙に“痛みを和らげる
「黒歴史」と銘打ってはいるものの、単なるスキャンダル暴露番組ではありません。
番組のポイント
- あくまで自社の反省や苦労話として紹介する
- 出演者(企業関係者)が自ら語る
- 失敗を笑いに昇華する演出
つまり、企業側にとっても「ダメだった過去をポジティブに変換できる場」になるのです。
これなら企業側も出演するメリットがあり、NHK側も「公平・中立」のラインを保てる。
→攻めた内容でも、出演企業から“恨みを買いにくい”。
民放との違いを比較すると…
NHK | 民放 | |
収益源 | 受信料 | スポンサー広告 |
番組制作の自由度 | 高い(忖度なし) | 低い(スポンサー配慮) |
内容の攻め方 | 公平性重視で掘り下げ | 企業批判は避ける傾向 |
リスク管理 | 出演者自ら語る構成 | 外部批判は敬遠しがち |
この比較からもわかる通り、NHKだからこそ実現できている企画だということが見えてきます。

ブクブー
「「黒歴史」すら、未来の教科書に──笑いと反省で包み込むNHKスタイルが、企業も視聴者も巻き込んでるブー!」
【まとめ】
- スポンサーがいないから、忖度なしで企業名を出せる。
- 公共放送の中立性があるから、黒歴史を扱っても公平性を担保できる。
- 出演者が自ら語る演出で、攻めた企画でも軋轢を生みにくい。
だからこそ、民放では絶対に真似できない企画が成立しているのです。
──NHKの「黒歴史掘り」、実は極めてNHKらしい番組だった。
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