道を歩いているとき、ふいに降り出す雨──。
その瞬間、私たちは2つの選択を迫られる。
- 濡れるのを覚悟して、落ち着いて歩くか
- 少しでも濡れないよう、全力で走るか
多くの人が「走ったほうがマシ」と考え、実際、街角では濡れた人々が小走りになる光景がよく見られる。
だが、意外にもこのテーマは、長年、欧米の気象学者たちの間で激論の的だった。
◆第1章:「歩いても走っても同じ」説が有力だった理由
1995年、イギリス・リーディング大学のスチーブン・ベルチャー氏率いる研究チームが驚きの結論を発表する。
「雨の中を歩こうが走ろうが、濡れる量は変わらない」
彼らは、
- 頭の上から落ちてくる雨粒による濡れ
- 前方からぶつかってくる雨粒による濡れ
これらを数学的に計算。走ることで“前方の濡れ”は減るが、“移動時間の短縮”と相殺され、結局どちらでも同じという理屈だ。
POINT
- 雨は真上から垂直に落ちてくるだけでなく、前方からもぶつかってくる
- つまり、前に進めば進むほど、自分から雨に突っ込む分がある
- たとえ走って早く到着しても、その分、前面に当たる雨粒が増える
- 結果として「移動時間の短縮=上からの雨を浴びる量は減る」が
「前からの突入雨が増える」で帳消しになる
以降、この説が有力とされ、「慌てても意味がない」と考える人も増えた。
◆第2章:アメリカの気象学者が異議!最新実験が下した結論
この“同じ説”に疑問を投げかけたのが、アメリカ・国立気候データセンターの気象学者、
トーマス・ピーターソン氏とトレバー・ウォリス氏だ。
2人は従来の計算式を見直し、次の結論を導き出す。
POINT
- 実際は、上からの雨の影響のほうが圧倒的に大きい
- 前からの“突入雨”は、速度を考慮してもそこまで増えない
- 特に豪雨時は、立ち止まるほど頭がびしょ濡れになる構造
- 走ることで「全体的な被害」を大幅に軽減できる

ブクブー
「前からの雨より、上からのシャワー攻撃のほうが強烈だブー!だから、逃げるが勝ちってわけだブー!」
この理論だけでなく、2人は実際の“体験実験”にも挑戦した。
◆第3章:リアル実験で判明!「やっぱり走った方が濡れない」
ピーターソン氏とウォリス氏は、ほぼ同じ体格。
そこで、次のようなシンプルだが説得力ある実験を行った。
- 2人で同じ服を着用
- どしゃぶりの中、100メートルを移動
- 1人は歩き、1人は走る
- 終了後、服が吸った水分量を測定
その結果──
- 歩いた人:0.22kgの水分を吸収
- 走った人:0.13kgの水分を吸収
差は歴然。走ったほうが、約40%近くも濡れが少なかったのだ。
◆終章:「雨が降ったら、素直に走れ」の時代へ
こうして、長年続いた「雨の中、歩くか走るか」論争は、ひとつの決着を見た。
- 小雨なら16%、どしゃぶりなら最大30%以上、走った方が濡れにくい
- 特に、前かがみで走ることで、前面の濡れを大幅に軽減できる
つまり、これからの私たちは迷う必要はない。
「雨が降ったら、素直に走れ」
そう覚えておけば良いのだ。
次に急な雨に見舞われたとき、ぜひこの科学的知見を活かしていただきたい。

ブクブー
「走ると恥ずかしい…なんて思わなくていいブー!カッパ忘れたら、“全力ダッシュ”が最強の防御だブー!」
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