ライブ会場で。映画館の中で。
新幹線や高速バスの長距離移動で──。
「トイレに行けない状況」にそなえて、“ボンタンアメ”をひと粒ポケットに入れておくと安心。
そんな都市伝説のような体験談が、SNSでひそかにバズっています。
“飴一粒で尿意が和らいだ”“全然トイレに行かなくて済んだ”など、再現性の高そうな声も多く、「効果アリなのでは?」という空気すらある昨今。
だがこれは果たして科学的な現象なのか?
それとも、身体の“思い込み”が生んだ心理反応なのか?
そして、まさかの東洋医学・薬膳的な裏付けまであるという話も──。
今回は、“飴と排尿”というまさかのテーマに、知的に切り込む一編です。
第1章:そもそも「なぜボンタンアメで尿意が消える」と言われているのか?
事の発端はSNS。
2024年ごろから、以下のような投稿が拡散され始めます。
- 「映画の前に舐めたら、2時間トイレ行かずに済んだ」
- 「フェスでボンタンアメが最強アイテムだった」
- 「ライブ用の“尿意リスク対策グッズ”として常備」
メーカー(セイカ食品)も報道に応じ、「科学的知見はない」としつつも「一部で売り切れが出た」と説明。
完全に個人の体感にすぎないものの、一定の共感を呼ぶ“現象”として広まっています。
第2章:西洋医学的にあり得る? “尿意を減らす3つの仮説”
専門家や医師のコメントをもとに、現時点で考えられている“可能性”は以下の3つ。
| 仮説 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| ① 糖質→浸透圧変化 | 飴の糖質が血液の浸透圧を上げ、腎臓での尿生成が抑えられる可能性。 | 糖が体内の水分保持を促すという考え方。 |
| ② 飴→水を飲まなくなる | 飴を舐めることで喉の渇きが紛れ、水分摂取が減る→結果として尿量も減少。 | 水を飲まなければ、物理的に尿は出にくい。 |
| ③ 行動心理効果 | 飴を舐める=“口さみしさ”や緊張を抑える→副交感神経が刺激され、排尿反応が抑えられる? | 集中・気晴らし効果。飴が“気を逸らす道具”に。 |
いずれもエビデンス不足で「確定ではない」ものの、仮説としては十分筋が通っています。
第3章:東洋医学の知見が“裏付け”していた!?
ここで浮上したのが、国際中医薬膳師リョータさん(@ryota_kampo)の投稿。
「ボンタンアメの主原料“もち米”には、漢方で“縮尿”作用があると言われている」
この一言に、和漢好き・薬膳愛好家たちがざわついた。
■ 漢方でのもち米の位置づけ
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 食材名 | 糯米(もちごめ) |
| 分類 | 補気類(体力・エネルギーを補う)/収渋薬(漏れ出る症状を“締める”) |
| 働き | 脾(消化機能)を補い、尿や下痢など“余分な排出”を抑える縮尿作用 |
つまり、東洋医学ではもち米は“内にとどめる食材”とされており、
頻尿・下痢・寝汗などを抑える目的で、おかゆなどにして用いることも。
第4章:実際どう使えばいい?「飴で尿意対策」実用編
もし「試してみたい」という場合、あくまで自己責任・補助的な方法として以下の使い方が推奨されます。
■ 試すなら…
- ライブや映画など長時間トイレに立てないタイミングで
- 開演30分〜直前に1粒舐める
- 飴を舐めることで“水を飲まない”状況が自然に作れれば成功
- 飴は糖質の塊。糖尿病・妊娠中・ダイエット中の方は慎重に
- 水分を控えすぎると脱水・熱中症のリスクあり
- トイレを我慢しすぎると、膀胱炎・排尿障害の原因になることも
- 頻尿が気になるなら、一度泌尿器科での相談をおすすめします
終章:飴一粒に、“科学”と“漢方”が重なる場所
「ボンタンアメで尿意が収まった」──
それは単なる偶然か、糖質の生理作用か、もち米の収渋か、それとも心理的作用か。
いずれにせよ、私たちの体は「気づかないうちに効いているもの」に、思いのほか敏感なのかもしれません。
小さな飴一粒に、
- 現代の“科学仮説”と
- 古代からの“食の知恵”が
奇妙にリンクする──。
そんな小さな気づきが、暮らしのなかに潜む“知の楽しさ”を教えてくれるのです。

「飴でトイレ我慢ってホントかブー!?でも“もち米”が味方なら…ちょっと信じてみたいブー!」



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