なぜUFO番組はテレビから消えたのか?──AI時代“信じさせるコスト”が高騰した必然の結末

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かつて、UFOや心霊現象は「ゴールデンタイムの常連」だった。謎の発光体を追う粗いカメラ映像、震える声の素人証言、そしてスタジオでの専門家とタレントたちの大騒ぎ。そんな“信じたくなる空気”に包まれて、我々は「もしかしたら本当にいるのかもしれない」という素朴なロマンを楽しんでいた。

しかし、いつの間にかその手の番組は、テレビの編成表からほとんど姿を消してしまった。

スマートフォンの普及でUFOらしき映像はむしろSNS上に溢れているはずなのに、なぜテレビではほとんど見かけなくなったのだろうか。

その答えは、「誰でも完璧なフェイクが作れる時代」の到来によって、「本物だと信じてもらうためのコスト」が、テレビというメディアがもはや支払いきれないほど高騰してしまったという、あまりにも現代的な現実の中にあった。


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第一章:あの頃は“信じるための余白”があった

1990年代から2000年代にかけて、『特命リサーチ200X』『奇跡体験!アンビリバボー』『USO!?ジャパン』といった番組は、UFO、心霊、未確認生物といったテーマを好んで取り上げた。

それらの番組に共通していたのは、「映像が圧倒的に粗かった」という、今にして思えば逆説的な特徴である。

  • ザラついたVHSの画質
  • 激しくブレる手持ちカメラの映像
  • 曖昧で断片的な目撃者の証言

これらのある種の「チープさ」は、しかし当時は逆に“本物っぽさ”を高める効果を持っていた。

「見えるようで、はっきりとは見えない」「信じられるようで、完全には信じきれない」。

この、視聴者に委ねられた“想像の余白”こそが、「信じることの楽しみ」そのものを演出していたのだ。

ブクブー
ブクブー

「ええーっ!?昔の、画質が悪いUFO映像の方が、逆に『本物っぽい!』って、信じられてたんだブーか!?キレイで、はっきり見えすぎちゃうと、ダメなんだブーね…。なんだか、皮肉な話だブー…。」


第二章:“信じさせる”ことが、あまりにも、難しくなりすぎた時代

ところが現代、映像技術は我々の想像を遥かに超えるレベルで進化してしまった。

  • AIによる画像・動画生成技術の爆発的な普及
    • MidjourneyやDALL·EといったAI画像生成ツール。
    • そしてRunway、Pika、さらにはSoraといったAI動画生成ツール。
    • これらの技術を使えば、もはや専門家でなくとも、声も人物も天候や照明すら自由自在に、そして極めてリアルに創造することができてしまう。
  • 「本物っぽいもの」が、誰でも一瞬で作れてしまう現実
    • つまり現代においては、「見た目がリアルである」ということだけでは、もはやそれが「本物である」という何の証明にもならなくなった。
    • むしろ“あまりにもリアルすぎる”映像は、かえって「これはAIで作ったのではないか?」という疑念を生んでしまうという、皮肉な構造すら生まれている。
POINT

“信じる”ことの、構造転換

  • 旧時代: 映像が不鮮明 → 想像の余白が生まれる → 信じることができた。
  • AI時代: 映像が鮮明すぎる → AI生成への疑念が生まれる → 信じることができない。

第三章:“嘘を暴く技術”は、まだ、追いついていない

映像を「作る」技術がこれほどまでに進化している一方で、それが「本物か偽物か」を確実に見破る技術のほうは、まだ発展途上にある。

  • 検証の困難さ
    • 動画の撮影日時や場所といったメタデータは、簡単に削除・改ざんが可能である。
    • 映像の深層フレームを分析し、AI生成特有の不自然な揺らぎなどを見つけ出すには、高度な専門技術と時間が必要となる。
    • SNSでは常に出所不明の真偽の定かではない動画が瞬く間に拡散され、誤解を招く事例が後を絶たない。
  • テレビ局が背負いきれないリスク
    • テレビという公共性の高いメディアには、放送する内容に対する「裏取り」や「再現性の担保」といった重い責任が伴う。
    • 「AIが作ったのでは?」「やらせじゃないのか?」といった視聴者からの批判。そして「BPO(放送倫理・番組向上機構)への通報」といった具体的なリスク。
    • これらのあまりにも高すぎるリスクを前にして、テレビ局はもはやUFOという極めて真偽の判定が難しいテーマを、真正面から取り扱うことができなくなってしまったのだ。
ブクブー
ブクブー

「なるほどだブー…。下手に、すごいUFO映像を放送したら、『それ、AIで作ったでしょ!』って、BPOに、めちゃくちゃ怒られちゃうんだブーか…。テレビ局の人も、大変なんだブーね…。」


第四章:テレビが“やめた”のではなく、その役割を、終えた

今やUFOや心霊現象といったオカルトコンテンツの主戦場は、テレビではなくTikTokやYouTubeといったSNSの領域へと完全に移行した。

  • 短尺で刺激的な怪談映像。
  • 真偽はともかくガチっぽく見えるUFO目撃動画のまとめ。
  • ChatGPTやGeminiといった生成AIを使い、もっともらしい「仮説」を無限に生み出すコンテンツ。

“ネタの発生源”も“情報の拡散力”も、そして何よりもその「自由度」において、SNSはテレビを圧倒している。

テレビがUFO番組を「やめた」のではない。UFOというコンテンツそのものが、より親和性の高いSNSという新たなメディアへと「移住」したのである。


終章:“信じる”という行為を、どう、取り戻すか

我々がUFOや心霊現象を素朴に「信じることができた」時代。

それは“映像は現実を切り取ったものである”という、暗黙のそしてかろうじて守られていた約束の上に成り立っていた時代だった。

しかし今は違う。
“完璧な嘘”が誰でも作れてしまう時代。
だからこそ「信じるための理由」は、もはや映像の内側には存在しない。

  • 誰が撮ったのか。
  • なぜ公開されたのか。
  • どこで、どのように検証されたのか。

フェイクが当たり前となったこの世界で、我々が再びロマンを享受するためには、映像のその「外側にある物語」を読み解く力が必要になる。
そして、その「疑いのフィルター」すら含めて現実を再構成する力こそが、新しい時代の「信じる力」なのかもしれない。

オカルトテレビ
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