国民食「カップヌードル」知られざる2選──しょうゆ味ではない?ロゴの「ド」小さい理由とは

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1971年の発売以来、世界初のカップ麺として食文化を変革し、今なおトップシェアを走り続ける日清食品の「カップヌードル」。
「カレー」や「シーフード」など多様なフレーバーが存在する中で、赤いパッケージの最もスタンダードな商品は、多くの消費者から漠然と「しょうゆ味」だと認識されてきた。

しかし、その認識は半分正解で、半分間違いである。

メーカー公式の見解によれば、あれは単なるしょうゆ味ではない。そして、パッケージのロゴにある小さな違和感──「ド」の文字だけが小さいこと──にも、発売当時の時代背景を映し出した切実な理由が存在した。

本稿は、あまりにも身近な存在である「カップヌードル」に隠された、「味の定義」と「ロゴデザイン」という2つの謎を解き明かすレポートである。


第一章:何味なのか?──「しょうゆ味」と断言できない理由

多くの消費者が「普通のカップヌードル=しょうゆ味」と認識しているが、日清食品の広報担当者はこれを明確に否定するわけではないものの、より正確で興味深い定義を提示している。

  • 公式見解:「カップヌードル味」という唯一無二のジャンル
    • 広報担当者によれば、その味は「“カップヌードル味”としか形容できない、唯一無二の味わい」であるとされる。
    • これは単なるブランディング上の言葉遊びではない。他社の一般的な「しょうゆラーメン」のカップ麺と比較しても、その味の構成は明らかに異質であり、既存のラーメンカテゴリに当てはめることが困難だからだ。
  • 味の設計図:洋風と和風のハイブリッド
    • では、具体的に何で構成されているのか。その正体は「洋風コンソメ」「和風の風味」の融合である。
    • ベース: 世界中の人々が親しめるよう、洋風のコンソメスープを採用。
    • アクセント: 日本人が抱く「ラーメン」のイメージに寄り添うため、しょうゆとメンマの風味を添加。
    • さらにペッパーのスパイシーさを加えることで、洋風スープでもなく、純粋な醤油ラーメンでもない、独自の味覚体験を構築している。この「どっちつかず」こそが、飽きのこないロングセラーの秘訣と言えるだろう。
ブクブー
ブクブー

「ええーっ!ずっと醤油ラーメンだと思って食べてたけど、ベースはコンソメスープだったんだブー!?言われてみれば、普通のラーメンとはちょっと違う独特の味がするブー…。それが『カップヌードル味』ってことなんだブーね!」


第二章:なぜ「ド」だけ小さいのか?──1971年の“懸念”と“こだわり”

パッケージ中央に鎮座する「カップヌードル」のカタカナロゴ。よく観察すると、最後の「ド」の文字だけが明らかに小さく、伸ばし棒「ー」の上に乗るように配置されている。
これには、発売当時(1971年)ならではの2つの重要な理由があった。

  • 理由1:ネイティブ発音への接近
    • 発売当時、日本ではまだ「ヌードル(Noodle)」という言葉自体が一般的ではなかった。
    • そこで、英語の本来の発音に近づけるため、日本語的な「ヌードル」という平板な発音ではなく、語尾が消え入るような「Noodle」の響きを視覚的に表現しようとした。その結果としての「小文字のド」であった。
  • 理由2:「ヌード」との誤認回避
    • より切実だったのが、「ヌード(裸)」という言葉との混同を避けるというリスク管理である。
    • 当時の日本人にとって馴染みの薄い「ヌードル」という言葉は、一歩間違えれば「ヌード」を連想させかねないという懸念が社内にあった。
    • 食品の名前に性的なイメージが付くことは致命的であるため、「ド」をあえて小さく表記することで、「ヌード」とは異なる言葉であることを強調する視覚的工夫が施されたのである。
ブクブー
ブクブー

「ヌ、ヌード!?それは確かに間違えられたら大変だブー!ラーメンだと思って買ったら…なんて勘違いは困るブー。50年前は『ヌードル』って言葉すら知られてなかったなんて、時代を感じるブー…。」


終章:計算され尽くした「スタンダード」

「カップヌードル味」という独自の味覚設計。
そして「ヌード」との混同を避けつつ、英語の発音を尊重したロゴデザイン。

これらはすべて、インスタントラーメンという新しい食文化を根付かせようとした、半世紀前の開発者たちの並々ならぬ執念と計算の産物であった。
我々が深夜にすするあの一杯は、単なる「しょうゆ味のラーメン」ではない。洋の東西を融合させ、言葉の壁さえもデザインで乗り越えようとした、イノベーションの塊なのである。

次にあの赤いパッケージを手にする時、小さく添えられた「ド」の文字と、コンソメと醤油が織りなす複雑なスープの味に、改めて思いを馳せてみてはいかがだろうか。

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