イギリスの優雅なアフタヌーンティーの定番メニューとして知られる「スコーン」。
一方で、日本のスーパーやコンビニのスナック菓子売り場に行けば、濃厚なバーベキュー味やチーズ味のパウダーをまとった、湖池屋の「スコーン」が棚に並んでいる。
同じ「スコーン」という名前でありながら、片やクロテッドクリームとジャムを添えて紅茶と共に楽しむ上品な焼き菓子。片や、指についたパウダーを舐めながらサクサクと食べるカジュアルなスナック菓子である。
あまりにもかけ離れたこの二つの存在は、なぜ同じ名前で呼ばれているのだろうか。
本稿は、それぞれの「スコーン」の正体と、日本のスナック菓子がこの名前を持つに至った意外な由来を解き明かすレポートである。
第一章:英国の「スコーン」──アフタヌーンティーの主役
まずは、歴史と伝統を持つイギリスの「スコーン(Scone)」について確認する。

- 正体は「焼き菓子(パンの一種)」
- 小麦粉、バター、牛乳、ベーキングパウダーなどをこねて、オーブンでふっくらと焼き上げたもの。
- 外側はサクッと、内側はふんわり、あるいはホロホロとした食感が特徴である。
- 優雅な食べ方
- 生地自体の甘さは控えめに作られており、横半分に割ってから、濃厚なクロテッドクリームとストロベリーなどのジャムをたっぷりと乗せて食べるのが本場イギリスの作法である。紅茶の味わいを引き立てる、ティータイムには欠かせない存在だ。

「イギリスのスコーンはお上品だブー!紅茶と一緒に優雅に食べる、貴族のおやつって感じがするブー!」
第二章:湖池屋の「スコーン」──1987年生まれのコーンスナック
対して、日本の日常に溶け込んでいる湖池屋の「スコーン」は、全く異なる製法と素材で作られている。

- 正体は「トウモロコシの揚げ菓子」
- 1987年に発売されたこのお菓子の主原料は、小麦粉ではなくトウモロコシ(コーングリッツ)である。
- 生地を成形して植物油でサクッと揚げ、濃厚なシーズニング(味付けパウダー)をたっぷりと絡めている。
- 強烈な風味と軽快な食感
- やみつきバーベキュー味やとろけるクアトロチーズ味など、パンチの効いた味わいと、口の中で崩れるような独特の軽い食感が特徴。イギリスのスコーンが持つ「上品さ」とは真逆を行く、ジャンクでやみつきになる魅力を持っている。

「こっちは指まで美味しくなっちゃう悪魔の食べ物だブー!全然別の食べ物なのに、どうして同じ名前なんだブー?」
第三章:なぜ同じ名前なのか?──「スコーン!」と打つ快音
最大の疑問である「なぜ湖池屋は、英国の伝統菓子と同じ名前を付けたのか」という点について。
結論から言えば、湖池屋のスコーンは、イギリスのスコーンを意識して名付けられたものでは一切ない。

- 擬音語からの造語
- 湖池屋の公式な説明によれば、この商品名の由来は「一度聞いたら忘れられない響きと、『スコーン!』と気持ちよく大ヒットするように」という願いを込めた造語である。
- つまり、野球でホームランを「スコーン!と打つ」、あるいはボウリングでピンを「スコーン!と倒す」といった、爽快で勢いのある擬音語(感覚的な響き)がそのまま商品名になったのだ。
- 英語の「Scone」とは語源からして全く無関係であり、見事なまでの「偶然の一致(同音異義語)」であった。

「ええーっ!ただの『ダジャレ』みたいなノリだったんだブー!?イギリスのスコーンとは全く関係ない、偶然の産物だったなんて衝撃だブー!」
終章:ギャップを楽しむ
結論として、英国のスコーンと湖池屋のスコーンは、素材も製法も、そして名前のルーツも全く交わることのない別物であった。
イギリス貴族のティータイムを彩る伝統の味と、昭和の日本で「大ヒットさせたい」という開発者の熱意から生まれた擬音語のスナック。
全く違う二つの背景を持つ食べ物が、同じ「スコーン」というカタカナ四文字を与えられ、日本の食文化の中で平和に共存しているという事実は、言葉の持つ不思議な偶然性を私たちに教えてくれる。



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