「19.2秒ほど見せたと記憶しています──」
突如、飛び出した“有効数字3ケタ”の答弁に議場がざわついた。
学歴詐称疑惑で揺れる静岡県伊東市の田久保真紀市長が、ついに百条委員会に出頭。疑惑の「卒業証書」は提出されず、“チラ見せ”は否定され、“19.2秒見せた”と主張された。
市長の発言は世間の失笑とツッコミを呼び、「X」では“19.2秒バズーカ”なるワードまで誕生。なぜここまでズレ続けるのか──。
伊東市議会の混迷を、構造的に紐解く。



第1章:学歴詐称疑惑の発端──「除籍」と書かれた大学の回答
田久保市長の経歴には、「東洋大学法学部卒業(平成4年)」との記載があった。
だが、今年に入り市議会へ「卒業していないのではないか」という匿名の投書が届く。
調査の結果、大学側から返ってきたのは思いもよらぬ回答──
「1993年3月31日付で、除籍処分となっている」
この時点で、「卒業」は事実と異なる表記となる。
市長本人も当初は提出を拒否し続け、議会は問題の深刻さから百条委員会(調査特別委員会)の設置に踏み切った。
第2章:「証書チラ見せ」報道に、まさかの反論「19.2秒です」
議長・副議長に“卒業証書”を提示したとされる場面では、市側の主張と議会証言に食い違いが生じた。
- 議長:「パッと開いてすぐ閉じた。手に取ることすらできなかった」
- 市長:「チラ見せの事実はなく、約19.2秒ほど提示した」
──なぜ“19.2秒”という異様に細かい数字が出てきたのか?
市長の説明によれば、
「録音を聞き返し、ストップウォッチで計測しました」
この答弁に会場では笑いが漏れ、SNSでは以下のような声が飛び交った。
- 「20秒じゃアカンかったんか?」
- 「8.6秒バズーカの倍以上やん」
- 「19.2秒って、三苫の1ミリの再来かよ」
正確な秒数で“真剣さ”を主張することで、逆に軽薄な印象を与えてしまったのが皮肉だ。
第3章:答弁の“迷走”──「卒業していたと思っていた」
証人尋問での主張は終始一貫していた。
- 「卒業していない事実を知ったのは、6月28日に大学へ訪れた時」
- 「それ以前は卒業したと思っていた」
だが、委員からの質問は核心に迫る:
「それまで卒業していると思っていたのなら、なぜ“卒業証書”を提出しないのか?」
市長の回答はあくまで慎重だった。
「刑事告発されているため、証拠性のある書類は提出を控えている」
ここで問われるのは、「本物だから提出できない」のか、「本物ではないから提出できない」のか──
論点がすり替わったまま、証拠は提示されない。
第4章:「除籍理由はなにか」──東洋大学の規定を突きつけられる
百条委員会では、除籍の理由を突き止めるために東洋大学の除籍要件が提示された。
- 学費未納
- 在学年数超過
- 休学期間超過
- 入学手続き不履行
- 外国人留学生の資格不備
田久保市長は「休学届を出した記憶はない」と否定。
委員は「では、学費未納の可能性が高い」と推測したが、これに対しては、
「4年間はしっかり納入していた。そこまでは確認している」
と返答。
「卒業ができなかった → 5年目の学費未納 → 除籍」という構図が浮かぶが、核心には触れられなかった。
第5章:「お遊び卒業証書」説の投書と、“否定できない空気”
市議会には、新たな匿名投書が届く。
「田久保だけが卒業できなかったのはかわいそうで、飲み会でお遊びで卒業証書を渡した」
まさかの“ネタ証書”説──。
これについて市長は、卒業生の友人全員に確認をとったと主張。
「“そういったものを作った事実はない”という証言は得ております」
だが、ここでも証拠は提示されず、感情論だけが交錯する。

「”作ってない”っていう証言があるって言われても、出てきた証書が本物かどうかは別問題だブー……!」
第6章:「議長の“いいじゃん”発言」も根拠に
“チラ見せ”ではないと強調するために、議長の発言も引き合いに出した。
「19.2秒見せたあと、議長から“いいじゃん”と言われた」
だが議長側は、「卒業証書は偽物だったと思う」と断言しており、両者の証言は完全に食い違っている。
しかも百条委員会では「その場のやりとりを録音していた」と市長自ら認めており、証言の信ぴょう性以前に“録音していたのに何も提出していない”矛盾が浮き彫りになっている。
第7章:「卒業証書」の存在は?金庫に眠る“幻の証拠”
最後に焦点が当たったのは、結局のところ──
“卒業証書とされる書類”は本物なのか?
市長はこのように語った。
「金庫に保管してあるが、刑事告訴を受けており、弁護団と協議中。提出の可否は言えない」
公開の可能性については「“必ず出さない”とは言えない」と含みを持たせたが、明言は避けた。
金庫に閉じ込められたまま、真実も閉ざされたまま──
まとめ:「19.2秒」は“見せた証拠”にはならない
今回の百条委員会は、あらためて多くの疑問を残す形で幕を下ろした。
- 卒業していないのに“卒業”と記載された経緯
- 謎に包まれた“卒業証書とされる書類”の出自
- チラ見せ否定の根拠が“19.2秒”という曖昧な提示時間
- “お遊び証書説”の真偽
- そして何より、“議会の要請”に対して証拠を提出しない姿勢
SNSでバズった「19.2秒」のワードは、
形式的な整合性にこだわりすぎて本質を見失っている象徴のようにも映る。

「“19.2秒見せた”っていうのは“証拠を提出した”こととは別なんだブー……!どこまでが説明で、どこからが煙幕か、冷静に見極めたいブー!」
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