タクシー運転手は熟睡客を“触れずに”起こす?──コンプラ時代の涙ぐましい「起こし方」5選

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仕事の疲れ、あるいはお酒の酔い。タクシーの後部座席で心地よい揺れに身を任せるうち、いつの間にか深い眠りに落ちてしまう。多くの人が一度は経験したことのあるシチュエーションだろう。

しかし目的地に到着した時、運転手はどうやって我々を起こしているのだろうか。肩を叩く? それとも優しく揺さぶる?

実は現代のタクシー業界では、そのごく当たり前に思える行為がコンプライアンス上の重大なリスクとして固く禁じられているのだ。

本稿は、トラブルを未然に防ぐため「お客様の体に一切触れてはならない」という厳しいルールの中で、タクシー運転手たちがいかにして爆睡した乗客と格闘しているのか。その驚くべき、そしてどこかもの悲しい創意工夫の数々を解き明かすレポートである。


第一章:「体に触れるのは、絶対禁止」──コンプライアンスという、見えない壁

現代のタクシー業界において、「眠ったお客様の体に触れて起こしてはならない」というルールは、トラブルを未然に防ぐための絶対的な鉄の掟である。

特に女性の乗客が車内で深く眠ってしまった場合、たとえ善意からであったとしても、体に触れる行為はセクハラなどの深刻な誤解を招きかねない。

このコンプライアンスという見えない、しかし強固な壁が、タクシー運転手たちに驚くべき「起こし方」の進化を促すことになった。


第二章:エスカレートする「非接触」の起こし方──その、驚くべき手順

では運転手は具体的にどのような手順で、眠った乗客を起こすのだろうか。そこには段階的にエスカレートしていく、マニュアル化されたプロセスが存在した。

  • 起こし方①:まずは、声で
    • 基本はあくまで声かけである。「お客さん、着きましたよ!」「お客さん!起きてくださーい!」と根気強く呼びかける。
  • 起こし方②:車内を“極寒”に
    • しかし声かけだけでは全く起きない場合、次の段階へと移行する。
    • まず全ての窓を閉め切り車内を密室状態にする。そしてエアコンの温度を一気に下げ、車内を極寒の状態にするのだ。
  • 起こし方③:風量MAXを、顔面に
    • それでもまだ起きない猛者(もさ)に対しては、さらに攻撃の手を強める。
    • エアコンの風量を最大にし、その冷たい突風の吹き出し口を乗客の顔の方向へと向ける
ブクブー
ブクブー

「ひえーっ!エアコンで車をキンキンに冷やして、顔面に風を当てるなんて…!もはや、拷問じゃないかブー!でも、触れないから、そこまでしないと起きないんだブーね…。運転手さん、大変なんだブー…。」


第三章:最終手段──“揺さぶり”という、物理攻撃

声も寒さも風も通用しない。そんな最悪の、しかし決して珍しくはない状況下で、運転手はついに最後の手段へと打って出る。

  • 起こし方④:座席を、激しく揺らす
    • 運転手は一度車外に出る。そして乗客が座っている側の後部座席のドアを開け、座席そのものに手を掛け激しく揺さぶる
    • あくまで乗客の体ではなく「座席」を揺らすことで、直接的な接触を避けるのだ。
  • 最終手段:車、そのものを、激しく揺らす
    • そしてこれでもまだ起きない場合、最後の最後の手段として、運転手は再び運転席に戻り車体そのものを激しく揺らすこともあるという。
    • 「お客様ー!起きてー!」という悲痛な叫びと共に車がガタガタと揺れる。それはもはや一人の人間を起こすための、常軌を逸した光景である。
POINT

タクシー運転手が繰り出す、「非接触」の起こし方・進化の5段階

  1. Level 1(声): 基本はあくまで声かけ。「お客さん、着きましたよ!」と、根気強く呼びかける。
  2. Level 2(寒気): 窓を閉め切り、エアコンで車内を“極寒”の状態にする。
  3. Level 3(暴風): エアコンの風量をMAXにし、その冷たい突風を、乗客の顔面に直撃させる。
  4. Level 4(座席): 一度車外に出て、後部座席のドアを開け、座席そのものを、激しく揺さぶる。
  5. Level 5(車体): 最終手段として、運転席に戻り、車体そのものを、激しく揺らす。

終章:眠りすぎには、ご用心

結論としてタクシー運転手たちが繰り出すこれらの奇想天外な「起こし方」は、決して乗客への嫌がらせなどではない。

それは「お客様の体に触れてはならない」というコンプライアンス上の絶対的な制約の中で、それでもなんとか料金を精算し一日の仕事を終えようとする、彼らの血と汗と涙の結晶なのである。

我々がタクシーの中で安心して眠ることができるのは、彼らのこうした見えない努力のおかげなのかもしれない。
しかしその努力にも限界はある。

タクシーに乗った際は、どうか眠りすぎにはご注意を。
次にあなたが極寒の暴風の中で目を覚ました時、その犯人は隣にいる運転手さん、その人なのだから。

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