ヒトの自然寿命は“38歳”だった──DNA研究が示す衝撃事実、人類がいかにして運命を超えたか

科学
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「徹夜ができなくなった」「白髪が急に増えた」「なぜか昔のように無理がきかない」。
もしあなたが30代後半から40代でそう感じているなら、それは決してあなたの不摂生のせいではないのかもしれない。それは我々ヒトという生物種に遺伝子レベルでプログラムされた、極めて自然な変化の現れなのだ。

最新のDNA研究が我々に一つの衝撃的な事実を突きつけた。それは我々ヒト(ホモ・サピエンス)という生物種に本来設定された「自然寿命」は、「たった38年」であるという驚くべき事実だ。

我々は今、生物学的な想定を遥かに超えた「未知の領域」を生きている。


第一章:遺伝子に刻まれた「38年」という、生物学的な“寿命時計”

2019年、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究チームが、科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に発表した論文が科学界に静かな衝撃を与えた。

  • 「エピジェネティック時計」が解き明かした生命の期限
    • 彼らは脊椎動物のDNAに時間と共に規則的に起こる化学変化(DNAメチル化)を解析する「エピジェネティック時計」という最新の手法を用いた。これにより化石しか残っていない古代の生物でさえ、その「自然寿命」を極めて高い精度で算出することが可能になったのだ。
    • この手法でマンモスは60歳、絶滅した近縁種であるネアンデルタール人は37.8歳、そして現存する哺乳類で最も長寿とされるホッキョククジラは268歳という驚くべき数値を弾き出した。
  • そして我々ヒトが示した数値
    • そして研究チームが我々ホモ・サピエンスのDNAを解析した結果、示された「自然寿命」。それが「38歳」だったのである。
    • 現代人の平均寿命が80歳を超えていることを考えれば、この数字はあまりにも短い。しかしこれは決して間違いではない。我々の遺伝子の設計図には、生物としての一つの大きな区切りがこの年齢に設定されていることを示唆しているのだ。
ブクブー
ブクブー

「ええーっ!?僕たちの、本当の寿命は、38歳だったんだブーか!?今、生きてるほとんどの人が、生物学的には、『想定外』の時間を生きてるってことなんだブー!?衝撃的すぎるんだブー…!って、僕はブタだったブー!」

POINT

DNAが解き明かした、様々な生物の“自然寿命”

  • マンモス:60歳
  • ネアンデルタール人:37.8歳
  • ホッキョククジラ(最長寿の哺乳類):268歳
  • そして、我々ホモ・サピエンス:38歳

第二章:なぜ、38歳が、一つの“区切り”なのか?

なぜ我々の遺伝子はこの38歳という年齢を一つの節目として設定しているのだろうか。その理由は自然界における生物としての極めて本質的な目的にある。

生物としての最大の使命は「生殖」と「子育て」である。
野生環境において人間が20歳前後で子を産み、その子が危険な幼少期を乗り越えある程度独り立ちできるまで育てる。その次世代へのバトンタッチが完了するサイクルがおおよそ38年前後なのだ。

遺伝子の視点からすれば、その最大の使命を完了した後の個体は、種の保存という観点からはその重要性が相対的に低下する。

38歳を境に我々の身体に現れ始める様々な「老い」の兆候。それは生物としてのプログラムが、一つ大きなフェーズを終えたことを示す自然なサインなのである。

ブクブー
ブクブー

「そっか…。38歳を過ぎたら、生物としての一つの役目が終わるってことなんだブーか…。だから、体がだんだん変わっていくんだブーね…。なんだか切ないけど納得だブー…。」


第三章:我々は、いかにして、その“運命”を、超えたか

この事実を知ると「38歳以上の人生は生物学的には“余生”なのか」と感じるかもしれない。
だがここで視点を180度変えてみよう。

本来なら38歳という一つの大きな区切りを迎えるはずだった我々人類。それを医療、栄養、衛生環境の向上といった文明の叡智の全てを駆使して、その倍以上の期間健康に生きることを可能にしたのだ。
これは生物の歴史において極めて異例の、そして偉大な達成である。

我々は今、遺伝子という生物学的な設計図が想定していなかった新たな生命のステージを、自らの手で切り拓いているのだ。

POINT

生物学的な“運命”と、人類の“叡智”

  • 遺伝子のプログラム: 38歳前後で、生物としての一つの大きな役割を終える。
  • 人類の達成: 医療、栄養、衛生環境の向上といった文明の叡智の全てを駆使しその“寿命時計”を自らの手で、2倍以上に延長させた。

終章:「第二の人生」という、新たな可能性

38歳を過ぎて生きている我々は、もはや単に種の保存という生物学的なプログラムに従うだけの存在ではない。
その根源的な義務からある意味で解放され、自らの意志で人生の意味や目的を見出すことを許された、歴史上稀に見る存在なのだ。

もし今あなたが自らの身体の変化を感じているなら、それはあなたが衰えた証拠ではない。
それはあなたが生物としての一つの大きな役割を終え、新たなそしてより自由な人生のステージへと足を踏み入れた証なのだと言えるかもしれない。

38歳までの人生が生物としての第一章だったとすれば。
そして今我々が生きているのは、自らの知恵と努力によって勝ち取った、第二のそして無限の可能性に満ちた人生なのである。

生物学的なプログラムを超えたその広大な時間をどう豊かに生きるか。
本当の人間の物語は、そこから始まるのかもしれない。

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