選び抜かれた人類の代表、宇宙飛行士。彼らはあらゆる緊急事態を想定し数千時間に及ぶ過酷な訓練を受けている。ならば当然「未知との遭遇」に対するマニュアルもあるはずだ――。我々一般人はそう期待してしまう。いつUFOが宇宙船のハッチをノックしに来るか分からないからだ。
しかし現実はあまりに素っ気ない。
あるNASAの宇宙飛行士はインタビューでこう語っている。「異星人への対処法の訓練なんて受けたことがない。もし彼らがハッチを叩いたら、マイクに向かって『ヒューストン、問題が起きた』と叫ぶだけだ」。
NASAの公式な見解も冷徹だ。「存在するかどうかわからないものに対処するほど、我々は暇ではない」。
どうやら映画『メン・イン・ブラック』のような外交訓練や戦闘訓練は、公式には存在しないようだ。

「ええーっ!?訓練してないんだブー!?あんなに何でもできるスーパーマンみたいな宇宙飛行士さんたちが!?ちょっと夢が壊れちゃったんだブー…。」
第一章:だが、「対・異星」のマニュアルは実在する
ではNASAは宇宙からの来訪者に対し、完全に無防備なのだろうか。
答えはNOだ。
実は彼らは「異星人と握手する訓練」は受けていないが、「異星由来の“何か”から地球を守る訓練」は徹底的に受けている。

- NASAが本当に恐れているもの
- 専門用語で「惑星保護(プラネタリー・プロテクション)」と呼ばれるこの概念。NASAが本当に恐れているのは知性を持ったリトル・グレイではない。火星の土や小惑星のサンプルと共に持ち帰ってしまうかもしれない「未知の微生物(エイリアン・バクテリア)」なのだ。
- アポロ計画の厳重な“隔離”
- もし宇宙飛行士が地球の免疫系が全く知らない未知のウイルスや細菌を地球に持ち込んでしまえば、人類は滅亡するかもしれない。
- これを防ぐため、例えば月面着陸を果たしたアポロ11号の飛行士たちは、帰還後直ちに厳重な隔離施設(Mobile Quarantine Facility)に約3週間閉じ込められ、地球外の病原体に感染していないか徹底的な検査を受けた。
彼らにとっての真の「対・異星人訓練」とは、ビーム銃を撃つことではない。「絶対にハッチを開けないこと。そして地球規模のバイオハザードを決して起こさないこと」という、地味だが極めてシビアな防疫手順なのである。
NASAが、本当に、恐れているもの
- 恐れていないもの: 知性を持ったリトル・グレイや、侵略者。
- 本気で恐れているもの: 火星の土などと共に、持ち帰ってしまうかもしれない、「未知の微生物(エイリアン・バクテリア)」。
第二章:もし本当に、UFO(UAP)に出会ってしまったら?
近年アメリカ国防総省やNASAは、「UFO」に代わるより中立的な用語「UAP(未確認異常現象)」の調査に本格的に乗り出している。
かつては「笑い話」で済まされていた目撃情報も、現在では軍のパイロットや宇宙飛行士に対し「正規のルートで詳細に報告し、データを残すこと」が義務付けられつつある。
ここでも彼らに求められるのは、交信や攻撃ではない。ただひたすらに「冷静な観察者(オブザーバー)」としての役割に徹することだ。

- 国際的なプロトコル
- さらに科学界には「SETI(地球外知的生命体探査)」が定めた国際的なプロトコルも存在する。
- その基本原則は「もし知的生命体からの明確な信号を受信しても、絶対に独断で返信してはならない」というものだ。
宇宙飛行士が個人的な判断で「こんにちは」と返事をする権利はない。その歴史的な第一応答は、全人類を代表する国家間の高度な政治的判断に委ねられるからである。

「なるほどだブー…。勝手に『やあ!』とか、返事しちゃダメなんだブーね。地球の代表として、ちゃんと偉い人たちが考えてから返信するんだブーか…。宇宙とのお付き合いは大変なんだブー…。」
終章:夢はないが、プロ意識はある
結論としてNASAの宇宙飛行士は、「異星人と戦う訓練」を受けてはいない。
彼らが受けているのは「未知の恐怖を前にしても決してパニックにならず、冷静に状況を報告し、そして何よりも地球を汚染させない」という極限の危機管理訓練だ。
もし明日、本当に異星人が宇宙船の窓の外に現れたら?
彼らはやはり訓練通り、冷静にこう叫ぶだろう。
「ヒューストン、問題発生だ。……ただしマニュアル通り、ハッチは絶対に開けない」



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