日本のどの家庭のキッチンにも、おそらく当たり前のように存在しているであろう二つの白い甘味料。「普通の砂糖(上白糖)」と「グラニュー糖」。
我々は料理にはしっとりとした上白糖を、そしてコーヒーやお菓子作りにはサラサラとしたグラニュー糖をと、何気なく使い分けている。しかしこの二つの砂糖の根本的な違いを正確に説明できる人は、意外と少ないのではないだろうか。
材料が違うのか。それとも作り方が違うのか。
本稿は、このあまりにも身近な二つの砂糖の謎を、その製造工程の科学に基づき解き明かすレポートである。その違いは驚くほどシンプルな、「最後のひと手間」にあった。
第一章:結論──材料は全く同じである
まず結論から先に述べよう。
上白糖とグラニュー糖、その原材料は全く同じである。
どちらもサトウキビやテンサイ(甜菜)から作られたショ糖の結晶であることに変わりはない。
ではなぜあの質感と味わいの違いが生まれるのか。
その全ての鍵を握るのが、製造工程の最終段階で加えられるある“ひと手間”なのだ。
第二章:「みつ」をかけるか、かけないか──“しっとり”と“サラサラ”の分岐点
精糖工場でショ糖の結晶が作られたまさにその最後の瞬間、二つの砂糖の運命はここで分かれる。

- グラニュー糖の道:そのまま乾燥させる
- 遠心分離機で糖蜜を振り分けた後、できたてのショ糖の結晶を何も加えずそのまま乾燥させたもの。それがグラニュー糖である。
- そのため結晶の一つ一つが独立しており、あの独特のサラサラとした質感が生まれる。
- 上白糖の道:「みつ」をふりかける
- 一方、上白糖はそのショ糖の結晶に最後の仕上げとして「転化糖液(てんかとうえき)」と呼ばれる濃厚な糖の蜜(みつ)をごく少量ふりかけて作られる。
- この「みつ」はショ糖を分解して作られたブドウ糖と果糖の混合物であり、非常に水分を保ちやすい性質を持っている。
- この「みつのコーティング」こそが上白糖のあの独特のしっとりとした質感と、そしてグラニュー糖にはないまろやかでコクのある甘みを生み出す正体なのである。

「ええーっ!?そうだったんだブー!?材料は全く同じで、最後に『みつ』をかけるかかけないかの違いだけだったんだブーか!知らなかったんだブー!なんだかお化粧する前のすっぴんがグラニュー糖で、お化粧した後の姿が上白糖みたいだブーね!」
上白糖とグラニュー糖、運命の分岐点
- グラニュー糖: できたてのショ糖の結晶を何も加えずそのまま乾燥させたもの。→ サラサラ
- 上白糖: そのショ糖の結晶に、最後の仕上げとして「転化糖液(てんかとうえき)」という濃厚な糖の蜜(みつ)をごく少量ふりかけたもの。→ しっとり
第三章:どちらを使うべきか?──純度の高さと素材への影響
この製造工程のわずかな違いがそれぞれの砂糖の特性を決定づけ、我々の食生活における使い分けのヒントを与えてくれる。

- グラニュー糖の特性と最適な用途
- グラニュー糖はショ糖の結晶そのものであり純度が極めて高い。そのため雑味がなくすっきりとした淡白な甘さが特徴である。
- この純度の高さから素材の風味を損なわないという大きなメリットがあり、コーヒーや紅茶といった飲み物の繊細な香りを楽しみたい場合や、フルーツの風味を活かしたいお菓子作りに最も適している。
- 上白糖の特性と最適な用途
- 一方、上白糖は「みつ」のコーティングによりグラニュー糖よりも甘みが強くそしてコクがある。
- また水分を保ちやすい性質から料理に使うとしっとりとした仕上がりになる。煮物や照り焼きなどコクとしっとり感を出したい日本料理との相性は抜群である。

「なるほどだブー!コーヒーに上白糖を入れるとちょっと味が変わっちゃうのは、その『みつ』のせいだったんだブーね!これからはちゃんと使い分けるんだブー!」
終章:キッチンに並ぶ二つの個性
結論として我々のキッチンに当たり前のように並んでいる二つの白い粉。
その違いは原材料の違いではなく製造工程の最後に「転化糖液(みつ)」をふりかけるか否かという、たった一つのシンプルな工程の違いによるものだった。
- 何も足さないピュアな結晶 → グラニュー糖(サラサラ)
- 結晶にみつの化粧を施す → 上白糖(しっとり)
そのわずかなひと手間がそれぞれの砂糖に全く異なる個性と役割を与えている。
この小さな知識は我々の日々の料理やティータイムを、ほんの少しだけ豊かでそして科学的なものに変えてくれるのかもしれない。



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