「北朝鮮が弾道ミサイルを発射。日本のEEZ(排他的経済水域)の外側に落下した模様です」
この数年間、我々が幾度となく耳にしてきたニュース速報。その度に多くの日本人はこう感じているのではないだろうか。「どうせまた海の上でしょ?」「日本を狙う度胸なんてないくせに」と。
しかし、もしその認識が完全に間違っていたとしたら。
そしてその「海への落下」こそが、彼らの技術力の高さと極めて冷静な政治的計算を証明するものだったとしたら。
「なぜ彼らはEEZの外に落とすのか」「本気を出せば日本を狙えるのか」「そしてJアラートが鳴った時、我々は本当に何をすべきなのか」。
本稿は、この我々日本人が慣れきってしまった危険な状況に対し、調査報道記者の視点で忖度なくその「真実」を突きつけるものである。
その答えを知ることは、我々の平和な日常のすぐ隣にある脅威と向き合うための第一歩となる。
第一章:なぜ「EEZの外」にわざわざ落とすのか?
北朝鮮がミサイルを日本のEEZの外側に着弾させるのは、「狙いが外れている」わけでも「日本に配慮している」わけでも決してない。そこには軍事技術的、そして政治的な三つの明確な意図がある。

- ①「ロフテッド軌道」という高度な実験
- これが最大の理由である。北朝鮮はミサイルを通常よりも遥かに高い角度(ほぼ真上)に打ち上げる「ロフテッド軌道(高角発射)」という方法を多用している。これにより飛距離を意図的に短く抑えているのだ。
- なぜそんなことをするのか。それは数千キロメートル上空の宇宙空間までミサイルを到達させ、大気圏への再突入技術(弾頭が高熱に耐えられるか)をテストしたいが、もし通常の角度で発射すればミサイルは日本列島を遥かに飛び越え、グアムやハワイ、場合によってはアメリカ本土近くまで到達してしまうからだ。それはアメリカによる即座の撃墜や報復を招きかねない、極めて危険な賭けとなる。
- つまり「日本の近くの海に落ちた」という結果だけを見て安心するのは早計だ。それはエネルギー的には「角度さえ変えれば日本全土を優に飛び越える長距離弾道ミサイル(ICBM)級の性能を持っていた」というケースが多々あるのだ。
- ② 新型エンジンのデータ収集
- 単純に新しいエンジンや近年主流となっている「固体燃料」の燃焼データを収集するための実験場として、日本海を利用している。海上であれば地上への被害リスクを最小限に抑えつつ、データ回収船を派遣することも可能である。
- ③ 戦争はしたくないが脅したいという“ギリギリ”の挑発
- 日本の領海や領土にミサイルを着弾させれば、それは国際法上「武力攻撃」と見なされ「宣戦布告」と受け取られかねない。
- しかしEEZの外側、すなわち「公海」への落下であればそれは国際法上攻撃にはあたらない。「戦争はしたくないが我々にはいつでもお前たちを攻撃できる能力があるぞ」という威嚇のメッセージを送るための、極めて計算された“ギリギリのライン”を突いているのである。

「ええーっ!?わざと飛距離を短くして日本の近くに落としてただけだったんだブーか!本当はもっと遠くまで飛ぶ力があったなんて…。全然知らなかったんだブー!怖すぎるんだブー!」
第二章:本気を出せば、日本本土を狙えるのか?
結論から言えば余裕で狙える。
我々日本人はこの不都合な、しかし厳然たる事実を直視しなければならない。

- 射程:日本全土は既に射程圏内
- 北朝鮮が既に実戦配備しているとされる「ノドン」や「スカッドER」といった準中距離弾道ミサイルは、その射程に日本全土をすっぽりと収めている。
- 精度:ピンポイントで都市を狙えるレベルへ
- かつては数キロ単位の誤差があるとされていた北朝鮮のミサイル技術。しかし近年のGPS誘導技術などの向上により、その精度は飛躍的に向上している。
- 専門家の分析によればもはや基地や発電所、あるいは主要都市を数百メートル単位の誤差でピンポイントで狙える精度に近づいていると考えられる。
- 飽和攻撃の悪夢
- さらに最も恐ろしいのが「飽和攻撃」のシナリオだ。
- たとえ1発や2発であれば現在の日本のミサイル防衛システム(イージス艦のSM-3や地上配備のPAC-3)で撃ち落とせるかもしれない。
- しかしもし同時に数十発のミサイルが日本に向けて発射された場合、その全てを迎撃することは物理的に極めて困難である。
第三章:Jアラートが鳴った時、本当に気をつけるべきこと
「どうせまた海でしょ?」
その油断こそが我々の命を奪う最大の敵となる。もしミサイルが日本本土に向かってくる場合、発射から着弾までの猶予はわずか「10分以内」。Jアラートが鳴ってからでは残された時間は数分しかない。
遠くの頑丈な避難所に走る時間はない。
以下の「生存確率を上げるための最低限の行動」だけを覚えておいてほしい。

- 爆風よりも「ガラスの破片」があなたを傷つける
- ミサイルの着弾による被害で最も多いとされるのが、爆風によって割れた窓ガラスの破片による裂傷である。
- 【屋内にいる場合】: 可能な限り窓のない部屋(トイレや浴室、あるいは廊下や地下室)へと速やかに移動する。それが無理ならとにかく窓から離れ低い姿勢をとること。カーテンを閉めるだけでもガラスの飛散をある程度防ぐ効果がある。
- 「頑丈な建物」か「地下」へ
- もし屋外にいて近くにコンクリート製の頑丈なビルや地下街、地下鉄の駅があればそこへ逃げ込むこと。木造家屋にいるよりも生存率は格段に上がる。
- 何もない場所では「伏せる」こと
- 周囲に何も避難できる場所がない屋外にいる場合は、物陰に身を隠すかあるいはその場で地面に伏せて両手で頭を守ること。爆風や破片は頭上を通り過ぎていく可能性が高い。立ったままいるのが最も危険である。

「なるほどだブー…。遠くに逃げるんじゃなくて、とにかく『窓』と『頭』を守ることが大事なんだブーね!これなら僕にもすぐにできるんだブー!覚えておくんだブー!」
Jアラートが鳴ったら即座に取るべき“3つの行動”
- 窓から離れる: 爆風よりも割れた「窓ガラスの破片」があなたを傷つける。窓のない部屋(トイレや浴室など)へ移動する。
- 頑丈な建物か地下へ: 屋外にいて近くにコンクリート製のビルや地下街があればそこへ逃げ込む。
- 何もない場所では「伏せる」: 屋外で逃げる場所がなければその場で地面に伏せて両手で頭を守る。
終章:“オオカミ少年”の寓話にしてはならない
北朝鮮がミサイルを「EEZの外」に落とし続けているのは、あくまで「今はまだ実験と脅しの段階だから」に過ぎない。
「どうせ撃ってこない」という我々の「正常性バイアス(自分だけは大丈夫だろうという根拠のない思い込み)」こそが彼らの思う壺であり、そして我々にとって最大の脅威なのかもしれない。
Jアラートが鳴ったその瞬間に「ああ、またか」とスマホの画面を見続けるのではなく、「まず窓から離れよう」と体が反射的に動くようにしておく。
このささやかな意識の変革こそが、万が一のその時、我々と我々の愛する人の運命を大きく変えるはずである。



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