『3匹のこぶたとブクブー』

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第1章 それぞれの家

むかしむかし、あるところに、
3匹のこぶたがいました。

🐷🐷🐷

1匹目のこぶたは、のんびり屋。
わらを集めて、かんたんに家を建てました。

🐷1匹目:「これで十分だよ〜。すぐに休めるし!」

2匹目のこぶたは、しっかり者。
木を切って、がっしりとした家を作りました。

🐷2匹目:「木なら丈夫だし、きっと大丈夫!」

3匹目のこぶたは、まじめでがんばり屋。
レンガを積み上げて、かたい家を作り上げました。

🐷3匹目:「手間はかかるけど、これなら安心だ!」


それぞれが、自分にぴったりの家を作ったころ──
森の小道の向こうから、
もう1匹のこぶたがやってきました。

まるっこくて、ぽてっとした体。
青い帽子に黄色いポシェット、背中には大きな本。

🐷ブクブー:「こんにちはブー。」



🐷1匹目:「あれ?君は誰?」

🐷ブクブー:「ボク、ブクブーだブー。」

🐷2匹目:「君も家を作るの?」

🐷ブクブー:「うん。ボクも家を作るブー。
でも──ちょっと変わった家だブー。」

3匹のこぶたは首をかしげました。


ブクブーが取り出したのは、
たくさんの本。分厚い本、細い本、カラフルな本。


🐷ブクブー:「ボクの家は、本でできた家だブー。
名前は──図書館の家ブー。」


🐷1匹目:「ええっ!?そんなので大丈夫なの?」

🐷2匹目:「本なんて、風が吹いたら飛んでっちゃうよ!」

🐷3匹目:「レンガの方がずっと安全だよ!」


でもブクブーは、にこにこ笑って本を積み上げていきました。
それはそれは不思議な光景。
ページの1枚1枚が、レンガみたいにピシッと並び、
壁になり、屋根になっていきます。

しかも、その家からはほんのり、
インクの香り物語の光が漏れていました。


🐷ブクブー:「本には、たくさんの知恵と夢がつまってるブー。
それをあつめた家なら、きっと素敵だブー。」


やがて、ブクブーの図書館の家が完成しました。

🌿
壁には、冒険の物語。
天井には、星の地図。
床には、世界のいろんなふしぎ。


🐷1匹目:「うわぁ……!」
🐷2匹目:「すごいや……!」
🐷3匹目:「でも、これでオオカミが来たら……?」


🐷ブクブー:「大丈夫だブー。
たぶん、オオカミも、きっと夢中になるブー。」


そのとき──
森の奥から、風に乗って、
ガオォォォーーーッ!という声が聞こえてきました。


ブクブー
ブクブー

「守るための家も大事だけど、みんなでわらう家も、いいと思うブー。」


第2章 おおかみ、あらわる

森の奥から聞こえてくる
大きな足音──ドスン、ドスン。

ガサガサ、ザワザワ。

そして……
🐺「ガオォォォーーーッ!」

おおかみがやってきました。


まずは、1匹目のこぶたのわらの家に向かって、
おおかみは大きな息を吸いこみます。

🐺「ふぅぅぅーーーっ!」
バサバサバサッ!!

わらの家は、あっという間に吹き飛ばされてしまいました。

🐷1匹目:「きゃあぁぁ!」

こぶたはあわてて、2匹目のこぶたの木の家へ逃げこみます。


次に、木の家の前で、また大きな息。

🐺「ふぅぅぅーーーっ!」
ドドドッ、バキバキバキッ!!

木の家も、たちまちバラバラになってしまいました。

🐷1匹目:「だめだ〜!」
🐷2匹目:「早く、レンガの家へ!」

こぶたたちは、3匹目のれんがの家へと逃げこみます。


🐷3匹目:「ここなら大丈夫!」

おおかみはレンガの家の前に立って、
大きく息を吸いこみます。

🐺「ふぅぅぅぅぅぅーーーーーーっ!!」

でも、レンガの家はびくともしません。

🐺「うぬぬ……!」


🐷3匹目:「よかった……。これで安心だ!」


でも、そのとき──
おおかみがふと、森の奥に見える、
もう一つの家に気がつきました。


それは、ブクブーの図書館の家

夕日を浴びて、ほんのり光り輝き、
壁一面に本が並んでいます。
屋根からは、ふわりと物語の香り。


🐺「なんだ、あの家は……?
食べ物がたくさんあるのか?それとも──
なんだか……あったかそうな場所だな……」


おおかみは、そろりそろりと、
ブクブーの家へ向かって歩き出しました。

🐷🐷🐷こぶたたち:「だ、だいじょうぶかな……?」

ブクブーは、ドアの前に立ってにっこり。

🐷ブクブー:「こんにちはブー。
よかったら、ボクの家に入っていくブー?」


おおかみはびっくりして立ち止まります。

🐺「えっ……? ボクを、入れてくれるのか?」


🐷ブクブー:「うん。ここは誰でも来られる家だブー。
よかったら、一緒に本でも読まないブー?」


おおかみは、ちょっと戸惑いながら、
でも、そっとドアを開けて中に入っていきました。


中は──
あたたかい光に包まれて、
壁いっぱいに本、本、本。

世界のふしぎな物語、
遠い星の冒険譚、
やさしい詩と、楽しい絵本。


🐺「……すごい。こんな世界、知らなかった……。」

おおかみは、1冊の本を手に取って、
そっとページをめくりました。


🐷ブクブー:「読むって、楽しいブー。」


こぶたたちは、そーっと窓からのぞきます。

🐷1匹目:「あっ……!」
🐷2匹目:「おおかみが……!」
🐷3匹目:「……本、読んでる……。」


やがて、おおかみはページを閉じて、
深くため息をつきました。

🐺「……ボク、もう家を壊すの、やめるよ。
本を読む方が、ずっと楽しい。」


こぶたたちは、目をまるくして、
ブクブーの方を見ました。

ブクブーは、にこにこ。

🐷ブクブー:「やったブー。」


こうして、森には
新しい小さな図書館ができました。


🐺おおかみは毎日、本を読みにきて、
こぶたたちとも、友だちになりました。

🐷🐷🐷🐺📚



ブクブー
ブクブー

「本には、心を変えるちからがあるブー。」


ー おしまい ー

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