5日間でタバコをやめさせる──その方法は、「ひたすら吸わせて、ビリビリさせる」!?
昭和のとある時期、都内某所に存在したと噂される禁煙施設「スモーキング・ラボ」。
一見すると科学的な名を持つこの施設では、喫煙者が狭い個室にこもり、1日15本以上のタバコを“強制的に”吸わされる。
しかもそのたびに軽い電気ショックを与えるという、今では考えられない“禁煙メソッド”が実践されていたという──。
果たしてこれは医学か、拷問か、それとも昭和の狂気か?
現代の禁煙法とはまったく異なるその“荒療治”の実態を、今あらためて掘り下げる。

「やめたいのに、吸わされる!?どっちなんだブーッ」
【第1章】それは“禁煙”という名の拷問だった?
「5日でタバコがやめられる──ただし、地獄を見ろ」
そんな噂が流れたのは、昭和40〜50年代、健康ブームの走りが始まった頃のことだった。
都内某所に存在した“禁煙特訓施設”『スモーキング・ラボ』。
名前だけ聞けば、なにやら科学的でクリーンな印象を抱きそうだが…
その実態は、禁煙希望者にひたすらタバコを吸わせ続け、同時に軽い電気ショックを与えるという荒療治。
目的はただひとつ、「タバコ=嫌なもの」という条件反射を身体に刻み込むこと。

「えっ…むしろ吸わせてるブー!?逆じゃないブー!?」
そう、その逆転の発想がこの施設の“キモ”だった。
これは嫌悪療法(アヴァージョン・セラピー)の一種であり、依存対象に意図的に不快感を結びつけることで「もう関わりたくない」と思わせる手法。
だがそれをタバコ×電気ショック×密室でやってしまったのが昭和的トンデモたるゆえんだ。
【第2章】1日15本、強制スモーキング+ショック療法
体験者の証言によると、施設では毎日午前・午後に分けてタバコセッション(!?)が実施された。
小さな無機質な部屋に案内され、そこで用意された銘柄(当時はハイライトやセブンスターなど)をひたすら吸わされる。
一服ごとに「ピリリ」とした刺激が腕に走る。
この刺激こそが軽度の電気ショックであり、スタッフがリモコンで調整していたらしい。
- 吸う → ショック
- 吸う → ショック
- 吸う → ショック……
「悪夢みたいだった」と語る元喫煙者は、最終日にはタバコの匂いを嗅ぐだけで吐き気がしたという。
この療法は当時、「条件付け療法」として一部医療機関でも注目されていた。
しかし、精神的ダメージやトラウマの懸念から、長く続くことはなかった。

「それ禁煙じゃなくて“感電道場”だブー…」
【第3章】「科学」と「根性」の狭間で──スモーキング・ラボの背景と終焉
ではなぜ、こんな“スパルタ禁煙道場”が生まれたのか?
背景には、昭和の社会構造と価値観が大きく関係している。
当時の日本は、まだまだタバコ=大人の証・男の嗜みというイメージが強かった時代。
高度経済成長の真っ只中、仕事の合間に一服、上司との喫煙が「社交」であり、国会でも煙がもうもう…。
「禁煙=弱さ」「努力すればやめられる」とする根性論が根強く残っていた。
そんな中、「どうしてもやめられない…」という喫煙者に向けて登場したのが、
“根性を科学で強化する”という発想のスモーキング・ラボだった。
この施設は完全個室制&5日間合宿型。
費用は当時の価格で3万〜5万円(現在価値で十数万円)。
「それでもやめられるなら安い!」と駆け込む人が後を絶たなかったという。
だが──
次第に社会は変化する。
- 禁煙パッチやガムなどの穏やかな代替療法の登場
- 電気ショックによる身体的影響や倫理問題の指摘
- “禁煙は我慢”から“サポートする時代”への価値観の転換
こうして、スモーキング・ラボは時代の中にひっそりと姿を消していった。

「時代が“ピリリ療法”を追い越してしまったんだブー…」
【第4章】いま蘇る? 令和の「新・スモーキング・ラボ」は現れるか
とはいえ、近年の禁煙ブームの再燃と、VAPE(電子タバコ)やニコチンフリー製品の普及により、
再び「禁煙ビジネス」が活況を呈している。
もし仮に、現代に「スモーキング・ラボ」が復活したらどうなるのか?
- VRでタバコの煙が部屋中に充満
- リアルタイムで血中ニコチン濃度を可視化
- 擬似電気ショックはTENS機器(低周波)で代替
- AIによる感情分析フィードバック付きカウンセリング
……なんて、“やさしくて怖い”次世代ラボができる日も、もしかしたら遠くないかもしれない。

「いやでもやっぱり“吸わせる”ってのが狂気だブーよ!!」
【まとめ】ピリリと残る昭和の煙──“強制嫌煙”から「寄り添う禁煙」へ
スモーキング・ラボは、間違いなく時代の歪みと希望が交錯した“禁煙の実験場”だった。
昭和の禁煙術は、今から見ればトンデモに見える。
だが、それだけ「やめたいけど、やめられない」人々の苦しみと本気の覚悟があったのだ。
現代では、禁煙に科学と心理ケアがセットになり、「寄り添う時代」へと変わった。
だがあの時代には、“吸わせる”という逆説的アプローチしかなかったのかもしれない。
最後に、昭和の禁煙チャレンジャーたちに敬意を表して──

「ピリリときたけど、もう吸いたくない。それもまた昭和の愛だブー…」
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