【考察】“転売ヤーから買うのは悪なのか?”─スイッチ2騒動が映し出すゲーム業界の未来

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「あれ?定価いくらだったっけ?」
ゲームファンなら一度は直面する、この違和感──それは新型ゲーム機が発売されるたびに繰り返される“争奪戦”の後ろに、転売という巨大な壁が立ちはだかっているからだ。

2025年、新たに登場した「Nintendo Switch2」も例外ではない。
SNSで話題をさらった“疑惑”や、有名人による転売品購入の是非をめぐる騒動。
その背景には、法では裁けない「モヤモヤ」が確実に存在しているのだ。

「ゲーム機を買うだけなのに、なぜここまで複雑なのか?」
そう感じたあなたにこそ読んでほしい──
これはただの消費行動では済まされない、ゲーム業界全体を揺るがす構造的問題
見えにくい悪循環の輪郭を、じっくり掘り下げていこう。


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転売ヤーから買ったら“悪”?…有名人の購入報告に波紋

2025年6月。Nintendoの新型ゲーム機「Switch2」をめぐり、“転売で買ったのか?”という疑念が複数の著名人に降りかかっている。

TBSラジオ『川島明のねごと』に出演したマヂカルラブリー・野田クリスタルさんは、転売疑惑を笑いに変えながら否定。自身で応募を依頼した知人の当選分を“定価で購入”したと説明した。一方、中川翔子さんもXで疑惑を完全否定。「絶対にフリマサイトや転売ヤーからは買っていません」と強調し、誤解と中傷に傷ついた心境を吐露した。その後、友人が出産祝いに譲ってくれたものだと釈明。これで一応、騒動の鎮静化をみた。

しかし、真逆のスタンスで火に油を注いだのがYouTuberラファエルだ。彼は動画で転売価格のSwitch2を購入し、プレゼント企画を実施。さらに批判に対し「法を犯してるわけでもない」「ロレックスと同じ」とXで反論し、物議をかもした。

果たして、「転売ヤーから買うこと」は、本当に“悪”なのだろうか?


転売は合法…でも“正論”だけでは割り切れない感情

まず確認しておくと、転売自体は違法ではない。誰かが買ったものを自由に売るのは基本的に認められており、それはSwitch2も例外ではない。

とはいえ、多くの人がこう感じているはずだ。

「法律違反じゃなくても、それってズルくない?」
「子どものための商品を、大人が投資目的で横取りするのはどうなの?」

こうした“割り切れない感情”の根底には、任天堂のゲーム機が持つ文化的な立ち位置がある。


任天堂ゲームは「みんなのもの」という価値観

Switch2は決して“富裕層向けの嗜好品”ではない。
それは、ラファエル氏が比較対象としたロレックスとは根本的に異なる。

  • ロレックス:価格の高さ・入手困難さ=“価値”になる設計
  • Switch2:誰でも楽しめる=“価値”になる設計

任天堂は「家族で楽しめるゲーム機」をつくってきた会社だ。
それが、プレゼント目的や再販目的で買い占められ、高値で売られることで、“本当に欲しい子ども”の手に渡らない

この“ズレ”が、モヤモヤの正体だ。


転売で起きる“見えない損失”

「欲しい人が金出して買うだけ、売れてるなら問題ないでしょ?」

そう思う人もいるかもしれない。
しかし、これはゲーム業界では成立しない論理だ。

ゲーム機の利益構造は特殊だ。
本体販売はむしろ赤字ギリギリで提供されることも多い。
ではどこで利益を出すか?それは以下のようなソフトの販売である。

本体が売れる
→ ユーザーがソフトを買う
→ ロイヤリティが開発会社に入る
→ 新作ゲームが生まれる

この流れが転売によって崩壊すると、
「本体は売れても、ソフトが売れない」=業界全体の沈滞につながる。

実際に、2020年のPS5転売騒動では、転売屋の倉庫に積まれた“遊ばれない本体”が問題となった。


「Switch2」はなぜ転売の標的になったのか

それでもSwitch2が転売されるのは、“儲かるから”に他ならない。
なぜSwitch2は特に狙われたのか。

  • 人気コンテンツ(マリオ、ゼルダ、ポケモン)への期待
  • 幅広い層が欲しがる(親子・カップル・配信者など)
  • 価格がギリギリ出せるレベル(=一般層も買える)

この「誰でも買える価格帯×入手困難」というギャップが、転売市場では理想的な商品となる。 一方で、それは同時に任天堂のポリシーに反する結果をもたらす。

「家族で楽しんでほしい」と願って設計された商品が、
「誰が一番高く買えるか」の競り合いになる。

これは、“娯楽の民主化”を掲げてきた任天堂にとっては深刻な裏切りでもあるのだ。


まとめ:モノではなく「価値」を奪っているという感覚

Switch2の転売問題は、単なるモノの売買ではない。
それは価値の横取りに等しい。

  • 定価で手に入れる“機会”が奪われた
  • 子どもたちが“楽しむ権利”を奪われた
  • 企業が描いた“流通の理想”が踏みにじられた

法的にはOKでも、感情的・道義的には大きな“不正義”として感じられるのは、このためだ。

インフルエンサーや著名人の発信が注目される今、
「転売を容認する発信」は、そのまま“市場のゆがみ”を助長することにもつながりかねない。

ブクブー
ブクブー

「ゲーム機は“遊ぶため”にあるブー!
お金儲けのためじゃなくて、笑顔のために回ってほしいブーッ!」

ゲーム社会
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