なぜ1日は24時間で、1時間は60分?──10進法が主流の中で、古代の“12と60”が生き残った理由

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​私たちが暮らす現代社会は、お金も、長さも、重さも、すべて「10」を基準に繰り上がる「10進法」で回っている。

​しかし、たった一つだけ例外がある。それが「時間」だ。

なぜ1日は10時間ではなく「24時間(12×2)」で、1時間は100分ではなく「60分」という奇妙な数字で区切られているのだろうか。

​結論から言えば、この時間のルールは約5000年前の古代メソポタミア(シュメール人・バビロニア人)が発明した「極めて割り算がしやすい魔法の数字(12進法と60進法)」が、あまりにも便利すぎたために、現代まで一度も上書きされることなく生き残った奇跡の遺物なのだ。

​本稿は、人類の歴史の中で「時間の単位」だけがなぜ10進法の波に飲み込まれなかったのか、その謎を天文学と古代の数学から紐解くタイムトラベル・レポートである。


第一章:世界を支配する「10進法」と、時間だけが持つ違和感

​人間の両手には10本の指がある。そのため、人類は古くから数を数える際に「10」をひとまとめにする「10進法」を自然と採用してきた。1mは100cmであり、1kgは1000gである。

​しかし、時間だけは全くルールが違う。

60秒で1分になり、60分で1時間になり、24時間で1日になる。さらに1年は12ヶ月だ。もし時間を10進法に統一しようとしたら、「1日は10時間、1時間は100分」とした方が計算は圧倒的にラクなはずである。事実、フランス革命時には時間を10進法に統一しようとする動きがあったが、見事に失敗してしまった。それほどまでに「12と60」のシステムは強固だったのだ。

ブクブー
ブクブー

「ええっ!過去に『1時間は100分』に変えようとした人たちがいたんだブー!?でも、それに慣れるのは無理だブー…。」


​第二章:古代メソポタミアが愛した「60」という魔法の数字

​このシステムを生み出したのは、紀元前3000年頃にメソポタミア文明を築いたシュメール人たちだ。彼らは「60」という数字を特別に愛し、「60進法」を構築した。なぜ60なのか?

  • 「究極の割り算特化型」ナンバー
    • ​10という数字は、「1、2、5、10」の4つでしか割り切れない。3等分や4等分しようとすると小数が生じてしまう。
    • ​一方、60という数字は「1、2、3、4、5、6、10、12、15、20、30、60」という、実に12個もの数字で綺麗に割り切ることができる。
    • ​電卓も小数点の概念もなかった古代において、「3等分(20分)」や「4等分(15分)」が簡単にできる60という数字は、スケジュール管理や天文学の計算において、圧倒的に使い勝手の良い「魔法の数字」だったのだ。

​第三章:親指で関節を数える?「12」が生まれた身体的・天文学的ルーツ

​では、1日が24時間(昼12時間・夜12時間)に分けられたルーツである「12」という数字はどこから来たのだろうか。

  • 天文学的な理由(月の満ち欠け)
    • ​古代の人々が夜空を観察すると、月が新月から満月になり、再び新月に戻るサイクルが、1年(太陽のサイクル)の間に「約12回」繰り返されることに気がついた。これが「12ヶ月」や「黄道十二星座」の起源である。
  • 身体的な理由(指の関節を使った計算機)
    • ​10進法が「両手の指(10本)」から生まれたように、12進法も手から生まれた。片手の親指をポインターにして、残りの4本の指にある「3つの関節」を数えてみてほしい。3つの関節×4本の指=「12」になる。古代の人々は片手で12まで数え、もう片方の指でそれを5回カウントすることで、「12×5=60」という数字を導き出していたと考えられている。
ブクブー
ブクブー

「ええーっ!?親指で他の指の関節を数えるとピッタリ12になるなんて、なんだか体に隠された秘密の暗号みたいだブー!!古代の人って、すっごく頭が良かったんだブーね!」


​終章:5000年前の英知が、今も私たちの手首でチクタクと鳴る

​結論として、「1日は24時間、1時間は60分」という一見不規則なシステムは、小数がなかった時代に「誰もが簡単に時間を分割できる」ように工夫された、古代メソポタミアの天才的な数学デザインの結晶であった。

​メートル法が世界を席巻し、すべてが10進法に置き換わった現代においても、時間だけは5000年前のルールのまま時を刻み続けている。

ふと時計を見た時、その文字盤の裏でシュメール人たちが指の関節を数え、星空を見上げている姿を想像してみてほしい。

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