2026年10月14日、簗和生農林水産相が高市早苗首相に辞表を提出し、首相はこれを受理した。
簗氏をめぐっては、自治体の道路予算を「大幅にカットした」とする発言に加え、選挙期間中に支持者をシャトルバスで無料送迎した問題が浮上していた。
高市首相は、道路予算の発言をめぐる10月8日の国会答弁で、簗氏に「とにかく働いて仕事で返せ」と伝えたことを明かし、続投させる考えを示していた。
そこから6日後、簗氏は辞任を申し出た。
何が問題となり、続投方針の後にどのような展開があったのか。
本稿は、道路予算をめぐる発言から無料送迎問題、国会答弁の修正、辞表受理までをたどり、今回の辞任に至る経緯を整理するレポートである。
第一章:発端となった「道路予算をカットした」発言
最初に問題となったのは、簗氏が大臣就任前の5月、地元・栃木県の自民党支部の会合で行った発言だった。
衆院選で首長が対立候補を支援した那須烏山市と那珂川町について、2026年度の道路予算を「大幅にカットした」と述べた。
この発言に対し、選挙での支持・不支持によって予算配分が左右されたのではないかと、行政の公平性を疑問視する声が上がった。

- 簗氏は、減額への働きかけを否定
- 簗氏は10月5日に発言を撤回して謝罪。国会でも、国土交通省への問い合わせに当たり、減額を求めた事実はないと説明した。
- 国交省は、照会を認める一方で圧力を否定
- 国交省は、簗氏から2市町への予算配分について照会があったことを認めた。一方、予算への働きかけや圧力はなかったとの認識を示した。
問われたのは、不適切な言葉を使ったことだけではない。
実際の予算配分に影響を及ぼしたのか、影響を及ぼしていないならなぜ自らの成果のように語ったのか、という点だった。
高市首相は10月8日、説明をした上で職責を全うしてほしいとして、簗氏を続投させる方針を示した。

「ええっ!応援してくれなかったから予算を削ったなんて、まるで悪代官みたいなセリフだブー!総理の『働いて返せ』って庇い方も、ちょっと無理があった気がするブー…。」
第二章:新たに問われた「支持者の無料送迎」
その後、過去の衆院選で、支持者をシャトルバスに乗せ、出陣式の会場へ無料で送迎していた問題が浮上した。
道路予算の発言が行政の公平性をめぐる問題だったのに対し、こちらは公職選挙法違反に当たる可能性が指摘された問題である。

- 簗氏は、適法に対応していたと説明
- 10月13日の衆院予算委員会で、簗氏は利益供与や寄付は行っておらず、法令に沿って対応していると答弁した。また、スタッフがバスを借り上げる前に選挙管理委員会へ確認し、その回答を踏まえたと報告を受けていた、と説明した。
- 事前確認の説明に食い違い
- しかし、選管側の説明との間に食い違いが指摘され、翌14日の国会で、簗氏は答弁を事実上修正した。
無料送迎そのものに加え、「問題がないと事前に確認していた」という説明が、どのような確認に基づいていたのかも問われることになった。

「タダでバスに乗せるのは、選挙のルール違反になるかもしれないんだブーね。選管に確認したって言ってたのに、話が違うブー!」
第三章:答弁の修正と、首相が示した進退判断
10月14日、簗氏は秘書に経緯を確認したところ、収支報告書を作成する際に、費用の計上方法を選管へ照会したのかもしれない、という報告を受けたと説明した。確認の記録は残っていないとも述べた。
ここで違うのは、送迎を行う前に適法性を確認することと、収支報告書への費用の記載方法を確認することである。
前日の答弁を支える事実関係が、改めて問われる展開となった。

- 首相は13日夜に説明を受けた
- 高市首相は、簗氏から電話で説明を受けたことを明らかにした。違法性については、個別の事実関係を踏まえて関係当局が判断すべきものとした。
- 人事上の対応にも言及
- 首相は、法令違反と判断した場合には人事上も躊躇しないと述べ、状況によっては更迭に踏み切る考えを示した。
道路予算の発言を撤回し、職務を続けるという方針の後に、別の問題と答弁の修正が重なった。
簗氏の進退は、新たな事実関係と説明を踏まえて問われる局面に入っていた。
第四章:辞表提出と、首相の任命責任
14日夕方、簗氏は官邸で高市首相と面会し、辞表を提出した。
簗氏は、国会審議にこれ以上迷惑をかけられず、農林水産行政に集中できない状況を続けるべきではないと説明。「自ら決断をした」と述べた。
高市首相は辞表の受理を明らかにし、大臣の任命責任は自分にあるとして、辞任に至ったことを重く受け止めると述べた。

- 辞任の申し出は、14日夕方
- 首相によると、13日に説明を受けた際には、辞任の意向は示されていなかった。14日夕方、本人から申し出があり、辞表を受け取ったという。
- 後任は、15日に示す考え
- 首相は後任の農水相について、翌15日に伝えたいとし、候補への打診はこれからで、調整中だと説明した。
一連の経緯から「事実上の更迭」とみる向きもあるが、本人と首相が説明した手続きは、簗氏による辞任の申し出と、その受理である。
また、辞任は、無料送迎などの違法性が確定したことを意味しない。
大臣を続けるかという政治上の判断と、個々の行為が法令に違反するかという判断は、それぞれ確認していく必要がある。
終章:辞任しても残る、事実関係への問い
「働いて仕事で返せ」という続投方針から6日。
道路予算をめぐる発言に、無料送迎の問題と答弁の修正が重なり、簗氏は国会審議や農水行政への影響を理由に辞任を申し出た。
今回の経緯では、行為そのものに加え、国会での説明を何が裏づけているのかも問われた。
事前に確認したという答弁が修正されれば、その確認内容を改めて明らかにする必要が生じる。
辞表受理によって大臣の交代は進む。
一方、道路予算への働きかけの有無や、無料送迎の具体的な経緯が、それだけで解明されるわけではない。
人事の区切りと、説明の区切りは同じではない。
後任の下で農水行政を進めることと、一連の問題について事実関係を明らかにすること。その両方が、今後も問われることになる。


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