2026年9月27日、お笑いコンビ「次長課長」の河本準一(51)が自身のX(旧Twitter)で入院を報告した。
「膵臓がまた動きました…12年間、ケアしてケアして大事にしてたんですが…いろんな事が重なると膵臓動きます。少し休んでまた、笑顔で戻りますのでファンの皆様お待ちください」
河本は過去(2010年と2015年)にも急性膵炎で入院しており、今回の「膵臓が動いた」「絶飲、絶食やってきます」という表現は、具体的な病名は伏せつつも、再び膵臓に不調が生じたことをうかがわせる。
急性膵炎といえば、お笑いコンビ「チュートリアル」の福田充徳も2011年に発症し、その激痛を「剣山を付けたバットで叩かれている感じ」と表現したことで知られる。
なぜ、膵臓の病気はこれほどまでに凄絶な痛みを伴い、治療において「絶飲絶食」という過酷な手段がとられるのか。
本稿は、体の奥深くに隠された膵臓のメカニズムと、自らの体を破壊する急性膵炎の恐るべき正体を解き明かすレポートである。
第一章:膵臓は強力な「消化工場」
急性膵炎の恐怖を理解するには、まず膵臓という臓器が持つ「2つの役割」を知る必要がある。胃の後ろ側に位置するこの細長い臓器は、人体にとって極めて重要な機能を有している。

- 強力な消化酵素(膵液)の製造
- タンパク質、脂肪、炭水化物を分解するための強力な消化酵素を含む膵液を作り、十二指腸へ送り出している。
- 血糖値のコントロール
- インスリンなどを分泌し、血液中の糖分を調節している。膵臓の機能が大きく低下すると、糖尿病につながることがある。
ここで重要なのは、膵液に含まれる消化酵素の「強力さ」である。食べ物を分解するための酵素であるため、特にタンパク質を分解する酵素は、膵臓内では働きにくい不活性な前駆体として作られ、腸に出てから本格的に働く仕組みになっている。
第二章:「自分の膵臓を消化する」という地獄
急性膵炎とは、何らかの原因でこの「安全装置」が破綻する病気である。

- 消化酵素の暴走
- 本来なら腸に出てから働くはずの消化酵素が、膵臓の内部にいる段階で異常に活性化(スイッチオン)してしまう。
- すると、活性化した酵素とそれに続く炎症反応によって、膵臓自身の細胞や周囲の組織が傷つけられる。これが「膵臓が自分自身を消化する」と言われる理由である。
- 背中へ突き抜ける激痛
- 自らの組織が傷つくことで、膵臓は激しく腫れ上がり、強烈な炎症を起こす。膵臓は背中側に近い場所にあるため、みぞおちの激痛だけでなく「背中へ突き抜けるような痛み」を伴うのが特徴である。

「ええーっ!ご飯を溶かすはずの強力な液が、自分自身をドロドロに溶かしちゃうんだブー!?そりゃあ剣山で殴られるより痛いブー!」
第三章:なぜ「水」すら飲んではいけないのか
河本が「絶飲、絶食やってきます」と記した通り、急性膵炎では病状に応じて、初期段階に飲食を一時的に止めることがある。

- 膵臓への刺激を抑える
- 人間が食べ物を口にすると、胃腸が動き、それに連動して膵臓も消化液を分泌する。強い腹痛や吐き気、腸管運動の低下がある場合には、飲食が難しくなることもある。
- そのため急性期には、口からの飲食を一時的に止め、点滴で水分や電解質を補いながら、膵臓への刺激と全身への負担を抑えるという管理が行われる。
- (※ただし現代医療では、長期間の絶食は腸内環境や栄養状態を悪化させる可能性があるため、症状が落ち着けば食事を再開し、重症例では鼻からチューブを入れて腸に直接栄養を送るなど、早期の栄養再開が重視されている)

「胃に何か入れただけで膵臓が動いちゃうから、完全ストップさせるしかないんだブーね。水も飲めないなんて過酷すぎるブー…。」
第四章:お酒だけが原因ではない
急性膵炎と聞くと「お酒の飲み過ぎ」というイメージが強い。確かに日本人男性の原因の約半数はアルコール性とされている。福田充徳のケースも、本人によれば当時の多量飲酒が原因であった。

しかし、原因はそれだけではない。 胆のうから落ちてきた「胆石」が膵液の出口を塞いでしまうケースや、中性脂肪の異常高値、薬剤、医療処置、さらには原因不明(特発性)で発症するケースもある。急性膵炎には複数の原因があり、河本が綴った「いろんな事」が具体的に何を指すのかは明らかにされていない。決して「自業自得の病」と片付けられるものではない。
終章:多臓器不全への連鎖
急性膵炎が真に恐ろしいのは、炎症が膵臓だけにとどまらない点にある。
重症化すると、炎症物質が血液に乗って全身を巡り、肺や腎臓など他の臓器に機能障害を起こす「多臓器不全」へ進み、最悪の場合は命を落とす危険性がある。
結論として、急性膵炎とは、消化を担う仕組みが膵臓自身を傷つける方向へ転じてしまう病気であった。
河本準一が今回どのような病状であるかは詳細に明かされていないが、「12年間ケアしてきた」という言葉の裏には、一度不調を経験した膵臓と付き合い続けることの難しさが滲み出ている。
みぞおちや背中に経験したことのない痛みを感じた時は、単なる胃腸炎と自己判断せず、速やかに医療機関を受診すること。体の奥にある膵臓が発する警告を見逃さないことが、命を守るための重要な行動なのである。



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